今、現場で起こっていること

近年、「ゆとり世代」と呼ばれる新入社員・若手社員が企業に入社しています。現場では彼らと先輩・上司の間に様々なギャップが生じており、私たちも先輩・上司や人事ご担当者様から以下のような声をよく耳にします。

  • ・ 言われたことしかやらない
  • ・ マニュアルや答えをすぐ求める
  • ・ 上司との酒はきっぱり断る
  • ・ 自分の成長につながると思えないことはやらない
  • ・ 注意されるとすぐめげる
  • ・・・ etc

上記の原因として、「ゆとり教育」があげられています。しかし、安易に原因を「ゆとり教育」に求め、彼らにレッテルを貼るだけでは、真の課題を見失ってしまいます。大切なのは、彼らと今後どう向き合っていくかということです。彼らは、ITリテラシーの高さや理解力の高さなど、非常に優秀な要素もたくさんあります。企業の発展のために、彼らの強みを最大限に活かし、立派な戦力として成長させるための教育施策が必要です。

そのためには、言動の裏にある、育ってきた環境や時代背景を理解することが重要です。それを理解した上で社会人として、組織人として戦力化する術を考え、今後の人財開発支援活動に活かしていただければ幸いです。

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ゆとり世代・ゆとり教育の基礎知識

ゆとり世代とは?
弊社の書籍『ゆとり社員の処方せん』(朝日新聞出版)内では、個性を活かす「新しい学力観」が学校の現場に導入された1992年前後に小学校に入社し、現在社会人になっている(08年大卒入社以降)社員を「ゆとり社員」と称しています。
実際には、「ゆとり教育」は1980年度から段階的に導入されました。また、現場に浸透するまでに時間を要したことから「この年代からゆとり世代」という明確な定義はありません。
ゆとり教育とは?
一般的には2002年度に全国で導入された「指導内容三割削減」「完全週休2日制」が象徴的な”ゆとり教育”への変化として扱われています。

ゆとり教育の経緯をもっと見る

1970年代
加熱する受験競争・いじめ・校内暴力など青少年の社会問題を背景に、詰め込み型教育を批判し教育にゆとりを求める論議が起こる。
1980年度
学習内容、授業時間数の削減を盛り込んだ学習指導要領が施行される。
1992年度
「新しい学力観」が提議される。 生徒の個性・自主性を尊重し、学習のプロセスや変化への対応力を重視するという考え方。同時に、毎月第2土曜日が休日となる学校週5日制が始まる。学校週5日制は子どもたちがゆとりある生活の中で、学校・家庭・地域社会が相互に連携し、子どもたちが様々な体験を通して、自ら学び自ら考える力や豊かな人間性を育むことを狙いとして実施された。
1996年度
変化の激しい21世紀におけるわが国の教育の在り方として、いかに社会が変化しようと、自ら学び、自ら考える力などの「生きる力」を育むことが重要であると考えられ、ゆとり教育の新たな目的としてあげられるようになる。
2002年度
上記の理念を受け、総合学習の時間が開始されると共に、完全週5日制が実施され、学習内容、授業時間数がさらに大幅削減された。

ゆとり世代の特徴と時代背景

1.自ら考え、行動することが苦手
与えられることが当たり前
インターネットが答えを教えてくれた

彼らは物質的に豊かな時代に成長してきた世代です。遊びや勉強のために様々なツールが与えられ、バラエティ豊かな選択肢が与えられました。また、彼らは情報化社会の進展と共に育ちました。小学校低学年の頃から、インターネットの世帯普及率は年々上昇し、検索すればたいていのことがわかる時代です。彼ら自身も高いITリテラシーを身につけ、情報検索が得意な一方で、彼らにとっての“答え“は、自ら考えるものではなく、“探す”もの、もしくは“選ぶ”ものへと変容してきました。
ビジネスの世界でも、彼らはゼロから考えるよりも、選択肢の中から選びたい、てっとり早く効率的に答えを見つけたい、と考えます。

2.自分が好きなことをやりたい願望が強い
個性を活かすことを奨励された
効率化を求められた

彼らが小学校に入学する1992年度から「新しい学力観」が提議されました。生徒の個性・自主性を尊重し、学習のプロセスや変化への対応力を重視するという考え方です。教師の役割は“指導者”から“支援者”に変容し、授業スタイルにおいても生徒が関心を持ったテーマを追求させる方法、環境づくりが求められました。
  また、ビジネスの世界では生産性の向上、IT化をはじめとるする効率化がすすみ、彼らも「無駄(だと思えるよう)なことはやらないほうがよい」という価値観が潜在的にあります。そのため、上の世代から見ると、「仕事を選り好みする」「下積み的な仕事をやらない」と見られることがあります。

3.自己成長への強い焦燥感を持つ
終身雇用制度の崩壊を目の当たりにしてきた

彼らは、右肩下がりの日本経済の中に育ってきました。小学校高学年の頃に大手金融機関の破綻が続き、親世代のリストラ、兄・姉世代の採用不況という厳しい現実を間近で見てきた世代です。また入社早々、世界不況を発端に経営環境の悪化、再度リストラや採用不況・・・終身雇用制度は崩壊し、潜在的に自身の市場価値を高めなければいけないという焦燥感を抱えています。彼らが会社に期待することが「自らの成長機会」であることも、このような背景からきています。

上記のように、彼らに見える特徴は、ゆとり教育や社会環境が複雑に絡み合い生じていることです。安易に「ゆとり世代」というレッテルを貼るのではなく、その要因を多角的に捉え、彼らを理解することで、彼らにどう向き合っていくべきかのヒントが見えてくるのではないでしょうか。

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彼らを戦力化するためのアプローチは

学生時代から社会人水準へのマインドセット
彼らには上記のような環境、時代背景からつくられた彼らなりの基準・水準があります。まずは、今までの学生時代のものからいち早く脱却させ、社会人としてのマインドセットをすることです。彼らの自己成長意欲を刺激し、「組織で働くとは」ということが理解できれば、彼らの高い処理能力や理解力、得意なITスキルを活かし、即戦力ともなるでしょう。

受け入れる側の職場環境・指導アプローチの見直し
これまでゆとり世代側の特徴・要因を述べてきましたが、より本質的で解決すべき問題は、職場環境にもあると考えています。ITの発達や、アウトソーシングにより、難易度の低い仕事は職場から減少しています。新入社員が順当にビジネス社会に適合できる基礎の積み上げ的な仕事や、小さな挑戦ができるような環境を意図的につくることはできているでしょうか。どんな世代でも、急には成長しません。成長するためにどのような環境が必要なのか、職場にそれがあるのかを見直してみましょう。 また、指導アプローチとして「背中を見て育て」は残念ながら通用しません。効率的に早く成長したいというマインドの彼らだからこそ、「社会人として育つ」ためのプロセスを一から教えることが彼らを戦力化する秘訣だと考えます。

10年後、20年後の企業、社会をつくるのはまぎれもなく彼らです。
ウィル・シードは、彼らの能力を引き出し、組織への貢献・発展を支援します。