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Chiesta│反転学習の新たなデザイン指針 (2)

反転学習、フリップド・ラーニング、ブレンディッド・ラーニング…もう20年くらい前から言われていた言葉が最近また脚光を浴びています

前回のコラムでは、新しいようで古くから語られてきた「反転学習」をデザインする上で、あえて“不完全なeLearningコンテンツ”を準備する、という発想と、3つの指針を紹介しました。

この3つの指針は、先行して取り組まれているeLearningを調査し、ユーザ・インタビューやプロトタイプ・サービスからのフィードバックに基づき立てられました。今回はそれぞれのポイントについて、確認していきます。

指針1 :カリキュラムを一致させる

eLearningの提供者と集合研修の提供者で、異なるカリキュラムことがしばしばあります。eLearningに強いA社のコンテンツと、集合研修に強いB社のコンテンツを合わせたカリキュラムと表現するとわかりやすいでしょう。

しかし、受け手にとっては重複があったり、似て非なるトピックがあったり、関係性がわかりづらかったりという混乱が生まれてしまいます。あるいは、それを想定して、企画者側がそもそもeLearningコンテンツを重視していないケースすらありえます。

(A) 表現を一致させる
受け手にとってのノイズを最小化させるためにも、少なくともeLearningと集合研修で使われる表現や定義は一致させるべきです。異なるサービス提供者のコンテンツを使用する場合は、両者ですり合わせておく必要があるでしょう。

(B) 構成を一致させる
よい学習・よい成長には、よいストーリーが必要です。どのようなコンテンツにも、学ぶことへの動機づけ、学ぶテーマの認知、理解、納得、そして実践を通じた試行のストーリーがあり、ストーリーの背景には提供者側の設計思想が必ずあります。反転学習全体の構成のみならず、eLearningと集合研修それぞれの構成を一致させることが必要でしょう。

指針2 :事前学習のバラツキを許容する

もしeLearningを事前学習で活用するのであれば、性格や動機あるいは業務状況によって一人ひとりの学習状況にバラつきが生まれることを前提に設計する必要があります。

(A) ちゃんと事前学習をうながす
意図的にバラつきをつくるのではなく、結果的にバラつくことを許容することがポイントです。事前学習を設けるのではあれば、「必ず学習してから参加してください」という制約をもうけることが必要です。理解度テストを設けるか否かは、その学習テーマによりけりでしょう。

(B) バラつきも学びに変える
集合研修を担当するファシリテーター/コンサルタントにとって、正直、基礎知識のバラつきは厄介なテーマです。「●●について知っている人は?」と尋ねた時に、受け手の2/3が手を挙げた場合、どこまで詳細に説明すべきか悩むからです。但し、バラつくことを事前にわかっていれば、それを逆手に取ったファシリテーションを準備できます。

指針3 :多様な学習ニーズに寄り添う

今や、多様な学習ツールが紹介され、多様な学習コンテンツや情報が溢れています。例えば、新入社員研修の定番テーマであるビジネスマナーも、多くの書籍が出版され、様々なWebサイトで詳説され、多様な動画がWebにアップロードされています。極論すれば「自分で調べて、学んできてください」も成立する環境にあるとも言えます。

(A) 個人の学びたいタイミングに合わせる
引き続きビジネスマナーを例にとると、入社式前に知りたいテーマ、配属前に知りたいテーマ、社外のお客様に会う前に知りたいテーマがあります。「学びたいときが、学び時」という言葉もあるように、一人ひとりの「学び時」に備えるという点でeLearningコンテンツは有用です。そのためには、一定期間、いつでも使える契約にしておくことが大切です。

(B) 個人の学びたそうなテーマだけ用意する
世の中に情報が溢れる環境があるのならば、eLearningコンテンツの果たす役割は、その「膨大な情報への入り口」とも捉えられます。ポータルサイトのように目次を担うこともあるでしょうし、「もっと学びたい」「もっと学ぶべきだ」と自己学習への動機づけをするという役割もありえるでしょう。eLearningコンテンツで完結させる、という虚像を手放すことが大切です。

反転学習を念頭に“不完全なeLearningコンテンツ”のデザイン指針について紹介しました。これが正解とは思いませんが、無意識のうちに抱いているeLearning神話に気づき、その考えを手放す機会になれば幸いです。

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