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OJTトレーナーの「振り返り方」 第6話

OJTは単なるコミュニケーションではなく、その目的はあくまで育成であるが故に、トレーナーは様々なジレンマに向き合うことになります。本コラムでは新人トレーナーが葛藤に遭遇し、乗り越え、成長していく一年間のストーリーとしてOJTに対するヒントをまとめました。

ウィル・シードがOJTトレーナーに研修を行う中、ご質問が多い項目として「振り返る」があります。昨今では仕事内容や職場環境に多様性が生じ、新入社員の仕事も不確実性が増してます。新入社員であっても、自ら考えて経験学習サイクルを回せることが求められるようになりました。本コラムを通じて、新入社員の成長を促す「振り返り方」について考えていきたいと思います。

6ヶ月目:振り返り面談

【登場人物】
中田稔(25):総合電機メーカーの商品企画部に勤務。入社4年目。佑介のOJTトレーナー
佐藤佑介(24):商品企画部に配属された新入社員。大学院卒
阿部和美(37):商品企画部の課長。稔、佑介の上司

【ストーリー】
佑介が入社して6か月が経った。さわやかな秋晴れの日が続いている。

半期に一度の振り返り面談の日が近づいてきた。面談の進め方を悩んでいた稔は、阿部課長に相談した。

「課長、佐藤さんの振り返り面談の進め方についてご相談したいのですが、ご都合の良い時間はありますか?」

「12時からランチミーティングがあるので、13時頃でしたら大丈夫です。カフェテリアで話すのはどうですか?」

「はい、よろしくお願いします」

稔はロイヤルミルクティーを頼んで13時ちょうどに席に着くと、すぐに課長がやってきた。

「課長、お時間作っていただき、ありがとうございます」

「お待たせしました。改めてOJTトレーナーとして佐藤さんの育成に心を砕いてくれて、ありがとうございます。いろいろ悩んだ半年間だったんじゃないですか?」

「そうですね…。いろいろ悩みましたが、育成は他の人に協力してもらうこともできると気づいてからは、少しだけ肩の荷が下りました」

稔の言葉に、課長は微笑んだ。

「これまで佐藤さんとは毎週金曜日に振り返りの時間を作っていて、初めは反省点や改善点について話してもらっていたのですが、なかなか振り返りが進まないので、KPT法に変えました」

「Keep、Problem、Tryね」

「はい。今回は半期の振り返りということで、どんなフレームワークで話せば良いか悩んでいます。例えば、リフレクティブ・サイクルはどうでしょうか?」

「Gibbsの?」

「はい。①何が起こったのか?②何を考え、何を思ったのか?③うまくいったこと、いかなかったことは?④その状況からわかることは?⑤他にどんなことができたか?⑥もう一度同じことが起きたらどうするか? という6つの問いからリフレクションするのはどうかな…と」

「とても使えるフレームですよね。自分自身を客観的に見る良い問いだと思います。ただ、今回は半期の振り返りなので、少し言葉を変えた方が良い部分もあるかと」

「どのあたりですか?」

「経験を見える化するためですが、例えば『何が起こったか?』よりも、『どんなことに取り組んだか?』という問いの方が主体的だと思います」

「確かにそうですね」

「それから、『もう一度同じことが起きたら…』という問いよりも『半期を振り返ってみて、改めてどのような目標を立てますか?』『どのような取り組みをしますか?』という問いの方が、新たな気持ちでスタートラインに立つ感じで、やる気にも影響を与えるように思います」

「なるほど…。インパクトがずいぶん違いますね」

稔の言葉に、課長はうなずいた。

「何を明らかにしたいか、相手にどんなインパクトを届けたいかによって、問いや言葉を変えるんです。中田さん、フレームにこだわらなくて良いので、ぜひもう一度考えてみてください」

「わかりました」

稔は赤字を入れたノートをじっと見つめていた。
<終>

7ヶ月目に続く

【稔のOJTメモ】
・ 何を明らかにしたいか、相手にどんなインパクトを届けたいかによって、問いや言葉を変える

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