会社を飛び出して学び、会社の仕事に活かすCASE02

株式会社パーソルキャリア

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ーパーソルキャリア社の次世代リーダー育成(以下I-Next)についてお聞かせください。この企画を行うにあたって、どのような課題があったのでしょうか。

石井:近年は労働市場が好調なこともあり、市場の期待に応えるために人材採用を進めた結果、マネジメント(管理職)を担う人材の不足が顕著になってしまいました。既存のマネジメントを育成する取り組みはすでに行っていたため、I-Nextでは、マネジメント手前の若手ハイパフォーマー層を選抜し、マネジメントを担う前にしっかりと育成することで、マネジメントに就くタイミングの質をより高めていくことを目的に企画を始めました。

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パーソルキャリア株式会社(旧:株式会社インテリジェンス)
キャリアディビジョン 戦略人事部 ゼネラルマネジャー 加々美祐介 氏
キャリアディビジョン 戦略人事部 組織・人材開発グループ マネジャー 石井恵梨子 氏
※ 2017年2月取材当時

ーI-Nextは「自分の志や自己変革力を高める」ことに主軸が置かれています。この理由は?

石井:社内でES調査を行った時、就業継続意欲はどういったところで高まるかも分析しました。その結果、報酬よりも「仕事で成長実感が得られる」「上司からありたい姿を問われる」との相関が高いことが分かりました。
次世代リーダーの育成にあたり、ここを人材開発の根幹に据えれば就業継続意欲も高まり、パフォーマンスが上がるはず。そこで、志(自分自身のありたい姿)や成長に向けて自分を変えていく力を高めていくことに注力しようと決めました。

加々美:特に今は変化の激しい時代です。従来の戦略立案力やチームビルディングといったマネジメントスキルだけでなく、何が起こっても対応できる自己変革力(Learning Agility)が必要になるのではないでしょうか。
あらためて自分は何に対して頑張れるのかを見つめ、何を成し遂げていきたいのかを模索する機会を設けることで、受講者や組織にとって中長期的にドライブがかかる企画にしたいと思いました。

ー「自己変革力」を育成する研修となると、非常に抽象的で総論賛成・各論反対になりがちです。具体的に、日頃のビジネス文脈の中でどのように自己変革力を活かせると考えていましたか。

石井:確かにその点が課題でした。そこで、プログラムを3つのブロックで設計しました。1つは、存分に自分と向き合い、自身の志やビジョンを探求する内省をメインにしたプログラム。そして、その志やビジョンを組織の中で活かすために、他事業部の上司をメンター役に据える「ナナメンター制度」を取り入れ、定期的な面談を通じて志を共有していくことが2つめです。
志を自分の仕事に結びつけるためのフィードバックは、同じ業務・同じレベルの相手ではどうしても足元の業務やその延長線上の話になりがち。異なる事業・より高い視座で見ると、その結びつけ方も変わってくるという狙いから他事業部の上司にメンター役を依頼しています。

パーソルキャリアインタビュー風景

「ナナメンター制度」は以前からマネジメント向けに行っていましたが、I-Nextでより進化させました。例えば、面談内容を受講者本人から直属の上長に報告させ、同時にメンター役からも受講者の上長に面談内容をフィードバックして目標設定や能力開発などに反映してもらうようにしています。副次的な効果として、逆に受講者の上長がメンター役に育成相談をすることもあり、組織として育成する風土が育まれることにもつながりました。

そして3つめは、本業とは全く関係のないオフサイトでの地域課題解決をテーマにしたことです。新しい仲間とのチームビルディングも学びますし、本業で忙しいなど、さまざまな事情を抱える仲間や協力いただく社外の関係者の方を巻き込むリーダーシップも必要です。もちろん、地域のニーズを深掘りし、実現に向かって働きかけていくことは、まさにビジネス文脈の中でも活きてくるはずだと考えています。

パーソルキャリアインタビュー風景

ーI-Nextには多様なプログラムが盛り込まれていますが、我々ウィル・シードは東北地方での地域課題解決プロジェクトをお手伝いさせていただきました。オフサイトでの取り組みについて、どのような意義を感じていましたか?

加々美:例えば、新規事業を立案するというテーマは一見すると解がないように感じられますが、新規事業というお題目はあります。でも、今回はそのお題目すらもないところで一から解を導く力をつけてもらいたいと思っていました。そうしたシーンは社内よりも社外に多い。だからこそ、あえて慣れ親しんだ環境や業務からかけ離れたシチュエーションを設定しました。

石井:普段の業務では定められたプロセスの中で動くことが多いため、今回はプロセスから自分で考え、動いてほしかった。東北でのプログラムは、「提案先の起業家に採用される提案を行う」というテーマしか与えずに、受講者が提案の枠組みそのものから自分で規定し、ゴールまでのプロセスを設計する流れにしています。普段の業務に置き換えると、まさにリーダーがやるべきこと。リーダーには、与えられた方針を遂行するだけでなく、ゴールとゴールへの道筋を自分で決める力が求められているのです。

地域課題解決プロジェクトワーク(東北)の概要

5月中旬 Session1 チームづくり&事前学習|東京(半日) 東北地域と提案先の事業および起業家その人について理解を深めるとともに、チームビルディングを行う。次回セッションまでの中間課題として、事業環境に関するリサーチを行う。
6月下旬 Session2 現地理解&課題抽出|宮城(2泊3日) 2泊3日で女川エリア、秋保エリアを訪れ、現地の起業家、地域について理解を深め、情報を収集したうえで、今後取り組むべき課題を話し合う。中間課題のリサーチ結果の発表を行い、フィードバックを提案先の起業家からいただく。
8月下旬 Session3 現地リサーチ&仮説立て|宮城(1泊2日) 提案先の起業家に対して中間プレゼンを行い、率直なフィードバックを受けるとともに、取り組む課題の設定自体についてチームおよび起業家ともひざを突き合わせて議論する。現地でのリサーチを行い、課題の深掘り・提案の骨子づくりを行う。
9~10月 Session外 企画精緻化フェーズ|現地での自主調査 提案の内容をつめるフェーズ。遠隔でのテレビ会議、ユーザーへのインタビュー、現地でのテストマーケティングなど、提案をより良い内容にするために各チームで自主的に活動を行う。
11月上旬 Session4 最終プレゼン|宮城(1泊2日) 提案内容が起業家の方に採用されることを目標に、最終の提案発表を行う。フィードバックと振り返りセッションを通じて、半年間のプロセスを通じた自分とチームの成長・変化を確認する。
パーソルキャリアインタビュー風景

ーこのプログラムではワイナリー、石けん工房、ギター工房といった起業家のほか、協力パートナーとして東北を中心に起業家育成・支援を行うINTILAQ東北イノベーションセンターさまにもご協力いただきました。

加々美:人は「経験」「人との対話」「研修」の三つで成長すると言われています。このプログラムはまさに「経験」「人との対話」の要素がふんだんに盛り込まれています。自分自身で「経験」する、現地で志を持って事業を行っている起業家の方の「経験」に学ぶ、あるいはその方々や参加している仲間、チーム活動のサポーター役を担っていただいたウィル・シードの皆さま、社内のナナメンターなど、多くの人と「対話」する機会の中に成長のチャンスがあるのです。

石井:I-Next全体に言えることですが、五感で感じること、体験することは特に重視しました。東北でのプログラムでも、できる限り現地に足を運び、現地現物を体感し現地の方を理解することを意識しています。現地の地域リーダーは、自分の想いが明確で、自分で考え、自分で意思決定し、自分の仕事を本当に楽しんでいる。地域と東京というコントラストもよかったです。

ー期間設定にも特徴があります。6か月間という長期にわたって行われましたが。

加々美:長期間にしたのは、社内的な都合もあったんです。でも、今にして思えば妥当な期間でした。くり返しになりますが、このプログラムのゴールは自己変革のきっかけをつかむこと。それは短期間でできるはずがなく、モヤモヤしたり、自分なりに咀嚼したり、自然とわきあがってくるものを待つ熟成の時間が必要です。

自分を変革させ、成長していくことは、終わりのない旅だと思うのです。今回の研修を経て、一人ひとりが人生の旅を紡ぐきっかけになったのではないかと感じています。

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パーソルキャリアインタビュー風景

ー期間もさることながら、計3回の現地宿泊研修が盛り込まれるなど、充実したプログラム内容でした。印象に残っていることは?

石井:1回目の現地宿泊研修のとき、提案の資料はチーム内で分担して作り、プレゼンの時は自分が作ったところだけを話せば良いという、その場しのぎの態度が受講者たちに浮かんでいて……。研修ですから、会社が与えた機会であることには間違いありません。ただ、この機会を活かすも活かさないも本人次第。そのことを強烈に問うた時がありました。チームごとに分かれチームコーディネートを担っていただいたウィル・シードの皆さま、起業家の方もチームに混ざり、あらためて自分たちはいかにこの取り組みに向き合うか、どんなふうに起業家の皆さまと関わっていきたいのか、とことん話し合う時間を夜な夜な持ちました。その日を境に、少しずつチームが一枚岩になっていきました。

今振り返れば、私たち企画側としてのビジョンや志も問われるプログラムでした。実は、当初は企画側も一枚岩ではなかった。弊社、ご協力いただく皆さまそれぞれに立場があり、その立場で目指したいことがあり、それを担保すれば良いといった感じで、どことなくバラついていました。社内外の垣根を越えて本音でぶつかり合い、共通認識をしっかりと持たなければ良い結果にはならない。我々も考えさせられる機会が多くありました。

ーその後、受講者の皆さまには、どのような変化がありましたか?

石井:「リーダーのあり方に正解はない。自分らしいリーダーを目指せば良いと分かり、挑戦したいと思った」との声が寄せらせました。多くの方との対話や経験を通して、本当に自分が目指したい姿を見つけられたのだと思います。
「“こうあるべき”の呪縛から解放された」「この人のやりたいことは何だろう?と考えるようになった」という感想もあり、周囲に対する関わり方も変わったようです。自分の価値観を主張するだけでなく、他者がやりたいことを聞き入れて受容し、その上でいかにサポートしていくか、そうした会話がチーム内で生まれています。自分なりのリーダーシップのあり方で組織やチームに貢献していくイメージもつかめたようです。

パーソルキャリアインタビュー風景

それから、「自分の志が明らかになり、仕事が“ほんのり”楽しくなった」という意見もありました。自己を変革させ、仕事に対する捉え方が変化した証だと思います。弊社は「はたらくを楽しもう」をスローガンとして掲げていますが、社員自らが仕事を楽しめるようになったことは嬉しい変化でした。

パーソルキャリアインタビュー風景

「仕事が楽しくなった」と語る受講者の皆さまの姿は、まさにI-Nextが求めた理想像ではないでしょうか。ナナメンター制度やオフサイトでのチャレンジなど、社内外の垣根を取り払った取り組みは、社員の意識だけでなく、全社的な組織改革にもつながることを予感させます。

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