CASE29好奇心を刺激し、
視野を広げる
自文化理解研修

岡谷鋼機株式会社OKAYA & CO., LTD.

インタビュー風景

英語やコミュニケーション、異文化理解は、ビジネスパーソンにとって必要不可欠なスキル・知識である一方、変化の激しいビジネス環境下で新たな価値を生み出していくには、それらを身につけるだけでは不十分であることも事実です。岡谷鋼機株式会社では、英語力は必須スキルとして強化施策を導入しつつも、グローバルな視点の獲得や多様な価値観・前提を知り、そこから自社は何ができるかを考える力をはぐくむために、若手社員向けに「自文化理解研修」を導入しています。施策を担当した人事総務本部の小本紗由香氏にお話を聞きました。

アセットを全社で共有し、新たなビジネスを創出

ー御社は商社という業種上、国内外を問わずにビジネスを展開してきたと思いますが、
特に強くグローバルを意識するようになったのは、いつ頃からだったのでしょう。

2007年頃です。当時、私は営業部門にいたのですが、その頃も海外案件はあったものの、担当している案件の大部分は国内でした。ただ、直属の上司もそうでしたし、中期経営計画としても「海外にも積極的にチャレンジすべき」という方針が打ち出され、個人的にはそれを「視野を狭めていてはならない」というメッセージとしても捉えていました。こうしたメッセージは今も変わらず、我々人材育成の立場からも送り続けたいと思っているところです。

10年前、20年前と現在を比較すると、グローバル化は格段と進み、社会の変化も早い。現状維持ではなく、視野を広く持ち続けていてほしいと思っています。

人事総務本部 名古屋人事総務部 人材育成室 小本 紗由香 氏
人事総務本部 名古屋人事総務部 人材育成室
小本 紗由香 氏

ー鉄鋼を基幹ビジネスとし、幅広い事業領域を持っていますが、世の中の変化に即座に対応できたから事業領域を拡大できたのか、もともと多様な事業領域を持っていたからスピードに乗れたのか。
御社がどのような未来志向を持っていたかによって、どちらもあり得ますが。

弊社の場合は、顧客のニーズに常に応えて来た経緯からです。鉄鋼から始まり、鉄鋼よりも硬いものや軽いものを求められて特殊鋼、非鉄金属、化成品を、加工には機械や自動化が必要だということで設備やエレクロニクスといったように、「ものつくり」を軸にして取り扱いを増やしていったことが現在の幅の広さにつながっています。

近年は、自部門のものを売るだけでなく、異なる部門が連携したビジネスも取り組んでいます。実際にあった例として、鉄鋼部門や化成品部門が顧客に対して材料を提案するだけでは無く、メカトロ部門やエレクトロニクス部門を巻き込んで設備を提案する等、部門同士が協働したビジネスが実現しています。

ー他部門の強みを理解できていたことで、顧客の多様なニーズに応え、自社の付加価値を高めることに結びついたのですね。

もともと弊社は部門同士の垣根が低く、相談しやすい雰囲気はありましたし、このことは、ノウハウや知見を広げるチャンスになっていたところもあったと思います。自分たちが持っているアセットをこれまで以上にどれだけ活用し、広げていくか。そのためにできることを、人材育成としても取り組んでいきたいと思っていました。

外から見たとき、自社はどのように映るのだろう?

ー御社が導入した「自文化理解研修」は、世界全体の流れをとらえる「トリの目」と各国の特性をとらえる「ムシの目」の両方の視点を持つ必要性を知った上で、社外かつ異文化の外国人参加者とのセッションを通じて自社の可能性を考える研修です。
導入にあたって、どのような狙いがあったのでしょうか。

目標の一つに将来を担うグローバル経営人材の育成がありました。従来から階層別研修は行ってきましたが、グローバル経営人材になるためのベースとして、まずは広い視野・高い視座を身につけてほしいと考えました。

ーこの研修は若手社員を対象にしています。
現場の上司としては、視野は広げてほしいけれど、仕事を覚えてほしい、独り立ちしてほしいという気持ちがあると思います。
一方で若手社員自身は、目の前の仕事をやるだけで精一杯。それでも若手社員向けとしたのは、どのような思いがあったのでしょうか。

若手のうちから視野を広げ能動的に動けるようになってほしかったからです。
独り立ちするまでに仕事のやり方の基本はもちろん、社会のルールやコンプライアンスはしっかりと教えますが、失敗を恐れるあまりにチャレンジできなかったり、目の前の業務に一生懸命になる事もあると思います。とっても良い事ではありますが、自分が提供する付加価値を意識した上で自分なりに改善・提案していいし、顧客・仕入れ先も既存に捉われずに開拓していい。新人研修でも折に触れて自分から発信する、取りに行くというスタンスを大切にしてほしいと伝えています。主体的に挑戦することは、全社員に求めているところです。

ー今ある枠の中だけでアクションを起こすのではなく、
枠すらも飛び越えてほしい、と。

好例があります。弊社は2016年から航空産業に本格参入しましたが、このビジネスプロジェクトを立ち上げたのは、当時20代だった若手社員でした。この社員はもともと営業として大手自動車メーカーをはじめとする取引先に機械設備の提案や販売を行っていましたが、自動車以外の分野を開拓したいと考え、興味を抱いていた航空産業に果敢にチャレンジしました。その結果、非常に大きな商機をつかみました。

人事総務本部 名古屋人事総務部 人材育成室 小本 紗由香 氏

ー御社が社員に伝えてきた「主体性」「挑戦」の姿勢を土台にしながらも、ご本人の興味や好奇心が原動力になっていたことがうかがえます。
しかし好奇心は、人材育成をする側が育てようと思って育てられるものではありません。

主体的に動こうとするとき、好奇心は必要不可欠だと考えています。そこで我々の考えたアプローチが、まずは視野を広げ、好奇心を刺激するきっかけをこちら側から与えること。そのために、自文化理解研修に取り組んだところもあります。

ー自文化理解研修には外国人参加者とのセッションが盛り込まれています。
受講者の皆さんは、これによってどのような刺激を受けたのでしょうか。

誰もが固定概念を持っていると思いますが、そこと異なる部分はすべて“くすぐりポイント”になっていたのではないでしょうか。岡谷鋼機のこと、さらには日本のことについて、知っているつもりのことに答えられなかったり、会社のことを意外と理解できていなかったことに気づかされたりと、海外の方から質問を浴びることによって、多くの気付き・刺激を受けていたようです。

ー商社という業態は海外にほぼありません。
外国人に説明するには自分たちの付加価値を理解できていないと分かりやすく伝えられませんし、
たとえできたとしても、何が自分たちの存在意義なのかまでは、相手が腹落ちできないこともあると思います。

発信するといった意味では、相手が国内であろうと、海外であろうと、あまり変わらないのかもしれません。常に「相手は何を求めているのか?」といった視点を持ち、それに応えるにはどのようにすべきか、自分たちの付加価値をいかに提案していくかといったように、相手の状況を理解して動くことが欠かせないと、今回改めて感じました。特に受講者たちはこれから独り立ちし、将来の岡谷鋼機のビジネス創出に貢献していく世代です。今回の経験を役立ててもらえたらと思っています。

ー外国人からのフィードバックには「あなたの会社の製品が環境に配慮しているならば、我々の国の環境を守ることにつながるし、製品は生活を豊かにしてくれる。両方が成立できるなら歓迎されるはずだ」といったように、実に具体的でヒントも多く含まれています。
そこから自社でできることを探してみたり、あるいは取引先の企業に協力を仰いでみたりと、未来のビジネスの種をまくきっかけになるかもしれません。

本当にそうだと思います。
まずは一歩目を踏み出してほしい。そうすれば、変わることがたくさんあるのではないかと思っています。

インタビュー風景

国内外を問わず、ビジネスを推し進めていくためのベースづくりを

ーもう一つ、職能や語学など、いわゆるスキルを高めるための研修だけでなく、
御社は主体性や好奇心をはぐくむことにも意欲的に取り組んでいます。

弊社でもスキルアップを目的とした研修は多く実施していますが、自分自身と向き合うと言ったらいいのでしょうか、マインドセットができたり、視野を広げられる研修だからこそ、得られるものもあると感じています。それには体感を伴う研修であることが欠かせないと思っています。

自文化理解研修の際、受講者が外国人からの質問にうまく答えられなかったこともあったと申しましたが、失敗したり、できなかったことがあったからこそ、どうすればできるようになるのだろうかと思考した上で実務に置き換え、自ら掴みにいくことができれば、ありたい姿にどんどん近づけると思うのです。

ー海外派遣や語学研修と、自文化理解研修。
御社の場合、それぞれに求めるものはどのように違うのでしょうか。

まず海外派遣や語学研修ですが、例えば、海外のビジネスを増やしていこうとするとき、語学力がネックとなってブレーキがかかってしまわないように、必須スキルとして身につけてもらうためのもの。
自文化理解研修は、ビジネスを推し進めていくためのベースづくりだと考えています。特に近年は国内だから、海外だからと分けることができない時代になっていますし、視野を広げていく際のステップになればと思っています。

ー社員をスキルフルにするためか、それとも、中長期的な視点を持って未来の経営人材を育てるためか。
どちらにフィロソフィーを持って人材育成を行うかは企業によってさまざまですが、御社の場合、徹底して後者を意識していることがうかがえます。

我々の軸は未来の岡谷鋼機をつくること。そのためにも、経営戦略と結び付けること、そして我々が中長期的な視点を持って視座高く、視野を広く取り組んでいく必要があると考えています。

インタビュー風景

350年以上続く伝統を持つ岡谷鋼機さま。専門商社としての歴史や実績を守りながらも、現場社員が自発的に新たな事業を切り拓くボトムアップ型の風土が根付いているというお話が新鮮でした。それにはまず、視野を広げること、好奇心を持つこと。ここに同社が人材育成の取り組みの一つとして注力していることも、非常に参考になるお話でした。

岡谷鋼機

好奇心を刺激し、視野を広げる
自文化理解研修

CASE29岡谷鋼機

三井住友信託銀行

多国籍のビジネスリーダーと
対峙できるマインドとスキルを鍛える

CASE28三井住友信託銀行

大月市役所

官と民の共創が生み出す
創発効果

CASE27大月市役所

東京都教育庁 起業創業ラボ

共創が生む
新しい教育のかたち

CASE26東京都教育庁 起業創業ラボ

野村ホールディングス

ファイナンス部門が取り組む
「専門性×グローバル」
両利きの人材育成

CASE25野村ホールディングス

伊藤忠テクノソリューションズ

変化の激しいIT業界
未来を見据えたグローバル人材育成

CASE24伊藤忠テクノソリューションズ

NTTドコモ

新入社員のリモートワーク適応
職場と育成をいかに連動させるのか

CASE23NTTドコモ

エヌ・ティ・ティ・データ

DXの意識と行動の浸透
顧客と共に創出する未来

CASE22エヌ・ティ・ティ・データ

花王

トップブランドを目指す“Kao”の
新しいキャリア研修への挑戦

CASE21花王

東京海上日動火災保険

「価値観を揺さぶる」
リモートでのグローバルなビジネス経験

CASE20東京海上日動火災保険

株式会社バンダイナムコアミューズメント

三カ月間の新入社員研修からみえた
「オンライン」と「リアル」の違い

CASE19バンダイナムコアミューズメント

住友商事

人材育成を止めないために
舵をきった
「新入社員研修オンライン化」

CASE18住友商事

日本航空

新たな価値を生み出せる
変革者を育てる海外異業種体験

CASE17日本航空

サントリーホールディングス

グローバルビジネス意識を向上させる
『English Boot Camp』

CASE16サントリーホールディングス

アドヴィックス

組織の育成風土づくりの
きっかけは「新入社員OJT」

CASE15アドヴィックス

共立メンテナンス

『よい朝のために。』
ブランドを支える人材育成

CASE14共立メンテナンス

サンゲツ

若手の声ではじまった
キャリア開発の取り組み

CASE13サンゲツ

東京急行電鉄株式会社

報告会に100名が集う
シリコンバレー派遣研修

CASE12東京急行電鉄

日清食品株式会社

フィードバック文化を育む
成長実感会議

CASE11日清食品

Dell EMC

子どもも大人も学ぶ
社員参加型の教育CSR

CASE10Dell EMC

豊田市役所

自治体職員としての最初の一歩

CASE09豊田市役所

北上市 子ども創造塾事業

ナナメの関係で
地域の子どもを育てる

CASE08北上市 子ども創造塾事業

横河電機 情報システム本部

情報システム本部から広がる構想

CASE07横河電機 情報システム本部

ジェイティ奨学財団

CSRの新しいカタチ

CASE06ジェイティ奨学財団

三重大学・鈴鹿医療科学大学

チーム医療を学ぶ
カリキュラム作りへの挑戦

CASE05三重大学・鈴鹿医療科学大学

住友金属鉱山

ALP活動の狙いと効果

CASE04住友金属鉱山

東京海上日動火災保険

若手 × 階層別研修 × 海外体験

CASE03東京海上日動火災保険

パーソルキャリア

会社を飛び出して学び
会社の仕事に活かす

CASE02パーソルキャリア

サントリーホールディングス

海外トレーニー経験で
グローバル人材は育つ

CASE01サントリーホールディングス

FOLLOW US最新情報をfacebookで!