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スタッフ日記|「改めて問い直す」難しさと大切さ

都立高校生を対象とした起業家教育プログラム『起業・創業ラボ』が実施されました。
関わったウィル・シードスタッフが得た『学びや気づき』をスタッフ日記としてご紹介します。

『起業創業ラボ』とは、起業・創業学習を通して起業・創業への関心を高め、都立高校生等の起業家精神を醸成するとともに、新しい価値を創り出す力を育成するための取り組みです。取り組みに共感し手を挙げたウィル・シードスタッフが、高校生のメンターとしてグループワークに参画し一夏を共にしました。

活動の詳細は、【東京都の教育内容ページ】に随時掲載される予定です。

今回の日記執筆は、営業職の小林万純。

 

「改めて問い直す」難しさと大切さ

「今までの人生でいちばん充実した夏でした」

全6回のワークショップの最終回、参加者の一人が述べた感想です。その参加者は受験を控えた高校3年生。某有名大学を目指し受験勉強に励む傍らの参加でした。「人生でいちばんって言ってもまだ18回しか夏を過ごしてないけどね」と照れ笑いする彼女の表情や、他のメンバーのうんうんと頷く様子を見て、貴重な体験を届けることができたんだな、ととてもうれしく感じました。この“せい”で彼女の勉強時間を大幅に削ってしまったのでは、と内心ドキドキしながら。

起業家を目指す高校生を対象とした本プログラムでは、チームごとにアイディアを出したりディスカッションをしたりと、「正解」がないものを作り出す考え方や発想を強化するワークを多く取り入れていました。正解を追い求め、試験での高得点を目指す高校生には「自由に考える」「考えを深める」というのは難しいことだったのかもしれません。

最初のうちは、メンターである私がなぜそう考えたのか尋ねると、「なんでだろ・・・」と黙ってしまう場面が多くありました。けれど回数を重ねた第4回目、参加者同士で「それはどうして?」「ということは~だよね」と、自分たちでアイディアを整理し論理的に説明したり、体系立てたりできるようになっていました。しつこいほどの「なぜ」の問いかけを、彼らが自分のものにしたのだなぁと感じた瞬間でした。

「何度も問い直すことが、難しくて楽しい」

「何がどう充実していたの?」とその参加者に尋ねると「今までに使ったことのない頭の使い方をたくさんしたことだ」と答えました。そこからは矢継ぎ早に「学校の勉強よりぜんぜん難しい。でも”難しい”の軸が違って、だから新鮮で楽しくて」と目を輝かせて話してくれました。

何が難しかったかというと、自分の考えや意見を何度も問い直すこと、そしてそれをチームメンバーと一緒にやることが難しかったそうです。他のメンバーの発言の意味や意図を読み解き、一緒に1つのアイディアを作っていくこと。それが難しく、そして楽しかったとのことでした。

○か×かを意識する今までの学校授業と異なり「たくさんアウトプットをする」「何度もブラッシュアップする」という作業をする中で「そういうものだと思っていたものを改めて問い直す」「考えをうまく説明できない」「説明しなくてもわかってくれると思っていたのにぜんぜん伝わらない…」とさまざまな考えが巡る、そんな経験が彼女を夢中にしたのだと思います。

「問われたことで、自分の思い込みに気がつきました」

「説明するのって難しいよね」「一生懸命そのことを考えていると頭が凝り固まって余計わからなくなるよね」「だからチームでやるって大事なんだね」そんな彼女たちの会話を、後日ある瞬間にふと思い出しました。

それは、ある企業様の研修実施のアテンドをしていた時でした。自分が課題だと感じているものを明確化し定義し直すというねらいのもと行われたその研修にて、受講生が「そもそもの課題ってなんだろう」と改めて皆で考える様子が、起業創業ラボに参加していた高校生と重なったのです。

受講生の一人が休憩時に話しかけてくれました。「客観的な質問を受けると、自分たちが当たり前だと思っていたことが当たり前でないと気がつきますし、立てていた問いがあっさり解決したり、問いを立てなかったところに問いが立ったりと、発見が多いですね。チームメンバーから問われたことで、自分の思い込みに気がつきました」

「きっかけ」を提供する意義

高校生たちが本当に起業家になれるかどうか、研修の受講生が本当に仕事の課題を解決できるか。研修の提供という形で企業様の人材育成を支援する私達は、その結果までは見届けることができません。

しかしこの2つの経験を通し、いかにその“きっかけ”が貴重で重要であるのかということに気がつきました。「改めて考える」というのは意外に難しく、そしてこの学びは年齢や経験に関係なく、見落としがちであるからこそ、あえて外部からそういうきっかけを提供することに大きな意義があるのだと感じました。

ちなみに、その高校生は夏休み明け「小論文がものすごく上達したけど何があったんだ」と学校の先生から尋ねられたそうです。


【起業創業ラボ 集中型メニュー】

オリエンテーション
DAY1:未来に起こることを想像する
DAY2:現在のビジネス・業界情報を調べる
DAY3:インタビュー/リサーチをする
DAY4:ビジネスチャンスを発見する
最終発表会

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