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【前編】三井物産人材開発に学ぶ!役職にとらわれないリーダーシップ
~若手活躍のポイントを探る~

どうすれば若手のリーダーシップを引き出せるのか?

三井物産人材開発様より人材開発部長の佐々木孝仁氏をお招きし、
【役職にとらわれないリーダーシップ】をテーマに、 “今の事業”で活躍している中堅リーダーではなく、これから活躍してほしい若手社員のリーダーシップを引き出す施策・風土づくりについて語っていただきました。
大変ご好評いただいたオンラインセミナーの内容を、前・中・後編の3回に分けてご紹介。
前編は、佐々木氏からの講演をお届けいたします。

2022.06.28

全員発揮のリーダーシップ

みなさん、リーダーシップと言えば、どんなイメージを思い浮かべますか?例えば、先頭に立ち牽引するリーダーがいて、その人についてくる多くの人がいるというのが、比較的よくあるリーダー像のイメージではないでしょうか。その特徴としては、「権限」「才能」のある人がリーダーシップを発揮するイメージです。

一方、人事としては、リーダーシップの定義は「職場やチームの目標を達成するために及ぼす他のメンバーへの影響力」と理解し、ポジションとは関係が無いと考える方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、私たちが現場でヒアリングをすると、「リーダーシップはリーダーが発揮するもの」「パワーのある人が発揮するもの」というイメージをもたれていることが多いというのも事実です。

リーダーシップと一口に言っても、さまざまなタイプのリーダーシップがありますよね。変革型、カリスマ型、オーセンティック型、サーバント型‥などなど、リーダーシップというのは本当に多様だなと思います。リーダーシップに関する研修を企画する立場としては、最近難しさを感じることが増えています。

その理由は、いまがVUCA(不安定・不確実性・複雑性・曖昧さ)の時代だからです。過去の成功体験が必ずしも通用しない、何かの問題に対して誰も正解を知らない、という状況が生まれています。このような時代には、正解を知る誰か1人が先頭に立ち牽引する、というリーダー像は通用しません。「誰か1人のリーダーシップに頼るのではなく、メンバー全員が必要に応じて、それぞれの強みをリーダーシップとして発揮することが必要」なのではないか、誰か1人が「〇〇リーダーシップ」を学んでもVUCAの時代に対応できないのではないか、という大きな問題意識がありました。

シェアド・リーダーシップについて

そのような中で私が「これだ!」と思ったのが、シェアド・リーダーシップです。日本におけるシェアド・リーダーシップの研究に関しては、立教大学の石川淳先生が詳しく、私も大学院で指導を仰いでいます。石川先生は、「職場のメンバーが必要なときに必要なリーダーシップを発揮し、誰かがリーダーシップを発揮しているときは、他のメンバーはフォロワーシップの発揮に徹するような職場の状況」をシェアド・リーダーシップと仰っています。シェアドは「分散された」という意味があり、シェアド・リーダーシップとは、リーダー以外のメンバーもリーダーシップを発揮して、組織が運営されている状態をイメージしてください。

もう少し分かりやすく図解をすると‥


誰もがリーダーシップを発揮し、他のメンバーと相互に影響を与え合う。他のメンバーがリーダーシップを発揮しているとき、自分はフォロワーシップを発揮する。そのようなイメージです。対比として、例えばカリスマ型リーダーシップはリーダーが常にメンバーに指示をする、働きかける。サーバント・リーダーシップは、リーダーが後方から支えるというイメージです。どちらのリーダーシップもシェアド・リーダーシップとの大きな違いが2つあり、①矢印が一方向であること、②フォロワー同士の横のつながりがないこと、です。

更にイメージできるよう、あるミーティングの場を具体例としてご説明します。
部長がいる部会議を想像してください。部長がリーダーシップを発揮して会議が開始されたとします。一人のメンバー、Aさんが「私はこういうアイディアがあるんですけど」と発言したときAさんは他のメンバーに影響力を発揮する、リーダーとしてリーダーシップを発揮することになります。
シェアド・リーダーシップの考え方では、Aさん以外は部長を含め全員がフォロワーシップを発揮するという位置づけになります。ここで部長がリーダーシップを発揮してしまうと、Aさん存在感は薄れてしまいますから、部長であったとしてもフォロワーシップを発揮するという事が重要です。次に、他のメンバーBさんが「Aさんが〇〇をするなら、私は××という取り組みでサポートしたいです」と発言したとします。そうするとその瞬間にBさん以外のメンバー、Aさんや部長を含めたメンバーはフォロワーシップを発揮する。フォロワーシップを発揮する人と、リーダーシップを発揮する人が瞬間瞬間で入れ替わる、それがシェアド・リーダーシップの考え方です。

シェアド・リーダーシップの効果とはなにか?

では、シェアド・リーダーシップにはどのようなプラスの効果があるのでしょうか。例えばですが、「メンバー全員のやる気UP」「メンバー全員の組織への愛着UP」「メンバー間のコミュニケーション向上」「メンバー全員の強み・専門性向上」「現場で判断する力」などが挙げられます。果たしてそんなに上手くいくのか、という話はあるんですが、研究の結果としてはこのような効果があると言われています。もちろんそれぞれの企業によって効果の度合は違うとは思います。

シェアド・リーダーシップの特徴は「強みを活かしたリーダーシップ(パーソナリティ・ベース・リーダーシップ)」だと言われています。それは「自分に向いたリーダーシップ」です。石川先生の『シェアド・リーダーシップ』(中央経済社)のなかでは、「自分に向いたリーダーシップとは、自分の性格や能力上の強みを活かしたリーダーシップである」としています。いきなり、リーダーシップを発揮するといっても、カリスマ性がないのにカリスマ型リーダーシップを発揮はできない、サポートするより牽引するタイプの人はサーバント・リーダーシップには向かない、など自分への向き・不向きが生じます。
一方で強みを活かすことは自信を持つことにつながりますし、これならやってみようと思いやすい。強みを活かして小さなリーダーシップを発揮していくことがパーソナリティ・ベース・リーダーシップであり、シェアド・リーダーシップにおけるリーダーシップ発揮行動の1つとされています。

なぜ、今シェアド・リーダーシップなのか

では、なぜ今シェアド・リーダーシップに注目しているのか。それは三井物産における『MITSUI LEADERSHIP IN ACTION』とばれる、全員発揮におけるリーダーシップのための行動要素を形にしたことがきっかけでした。三井物産ならではのリーダーシップを定義し、経営理念であるValues、行動理念と紐づけて作り上げたグローバルな行動基準になります。リーダーシップという言葉が入っていますが、これは‘’全員‘’がこの基準で評価されます。すなわち、全員がリーダーシップを発揮することが求められます。それは、こういった願いがあってのことです。「全員が自らの強みを活かしてリーダーシップを発揮し、強い個の集団となる」変化の激しい、正解が1つではない時代だからこそ、ビジネスで成果を上げるにあたりこれが重要なファクターだと捉えています。ですから『MITSUILEADERSHIP IN ACTION』を定め、全員がそれによって評価されていくメカニズムを取り入れています。

リーダーシップ開発は「なってからでは遅い」

全員発揮のリーダーシップを取り組むにあたり、評価制度だけでなく人材育成の体系も見直しました。さまざまな研修の中でもリーダーシップに関する研修を複数おこなっていますが、いずれも管理職になる前に行っているのが特徴です。なぜならば、リーダーシップの開発は「リーダーになってからでは遅い」と考えているからです。準備ができていないのに、いきなりポジションついたからリーダーシップを発揮して、と言われても困りますよね。ですから、若いうちからリーダーシップを発揮するための準備・経験をしておくという点についてはみなさんもご異論がないかと思います。そして我々は、「なってからでは遅い」という考えのもとに、若手社員層、具体的にいうと3年目研修でシェアド・リーダーシップを伝えていくという試みを始めようとしています。

ただ、研修でリーダーシップが身に付くの?という疑問もあるかと思います。正直に言うと、研修で教えただけでは身に着けるのが難しいと考えています。知るだけでは、実行に移すのは難しい。そのため、研修であるですが、少し違うアプローチも取り入れたプログラムを開発しています。その事例をご紹介します。

事例紹介

経験学習型リーダーシップ開発プログラム
実体験を通じて、リーダーシップを開発していく経験学習型リーダーシップ開発プロセスに基づいたプログラム設計をしています。
リーダーシップの発揮を経験し→内省し→持論化をして→自身のリーダーシップ行動を強化していきます。ただ経験から持論化するのではなく、理論やすぐれた専門家の持論等を学んで肉付けをしていきます。それを更に経験にして内省をしていきます。

全体プログラム

2日のパートと1か月の実践期間を設けた構成。教わるだけでなく、実践機会を設けて、リーダーシップを実際に発揮してみて、内省を行い、持論化を行います。内省機会の際には、他のメンバーの経験も聞いて、持論化をしていきます。経験学習サイクルを何度も回して、研修後にも実践し、経験学習サイクルを行う。これくらい、何度も経験・振り返り・持論化をしていかないと、どうしても身につかないものだな、と実感しています。

まとめ リーダーシップ研修設計のポイント

・インターバル期間を設けて、実践期間を担保
・持論を形成するために、しっかりとした理論をインプットしている
・上司をフォロワーにして、本人がリーダーシップを発揮しやすくする仕組みづくり

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いかがでしたでしょうか?次回は、弊社代表瀬田との対談セッションです。
「シェアド・リーダーシップをどのように浸透させていくか?」「D&Iとの関連性は?」など、更に掘り下げて参ります。
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■登壇者プロフィール

三井物産人材開発株式会社
人材開発部長
佐々木孝仁

2005年に株式会社リンクアンドモチベーションに入社、その後教育系ベンチャー企業を経て、2009年に三井物産人材開発株式会社入社。
三井物産・グループ会社向け研修の企画・開発・講師や、Harvard Business Schoolとの研修起ち上げ等を経験。
2017年にアジア・大洋州三井物産㈱(在シンガポール)に出向し、アジア地域の三井物産海外現地法人社員向け育成体系の再構築を主導。
現在は、人材開発部門の責任者として、三井物産および三井物産グループの人材開発・組織開発を支援しつつ、東京大学との組織の包摂性に関する共同研究をリードしている。
立教大学大学院経営学専攻(リーダーシップ開発コース)在学中。

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