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- 2021.10.04
- グローバル
オンラインだからこそ、実践スキルを効率的にトレーニングできた10日間
野村ホールディングス株式会社 ファイナンス部門では、入社3年目の社員を対象に、2019年はインド拠点への派遣を行う「グローバル研修」を行っていました。しかし、コロナ禍で渡航中止となった2020年はウィル・シードの「在宅海外研修」および株式会社セブンシーズ社の「Study Abroad in Tokyo」という全10日程のオンライン研修を導入しております。オンライン形式で実施したグローバル研修からどのような学びがあったのか、実際に参加した受講生に話を聞いてみました。
<プロフィール>
野村ホールディングス株式会社
主計部
山田氏
英語でのコミュニケーションが日常の職場
―はじめに、現在どのような環境でお仕事をされているか教えてください。
山田:4人体制のチームで、会計関連の仕事をしています。日本人の上司、日本人の同僚1名、もう1人がインド拠点のインド人社員になります。私とインドの社員が直接話す機会というのは週1回の定例ミーティングくらいですが、英語の文章、メールなどではほぼ毎日コミュニケーションを取っている状態です。これは入社した当初は、全く想定していませんでした(笑) いざ入社してみると同じ部門の2割くらいは外国籍社員でして、入社時の自己紹介では、日本語と英語の両方で話すところから始まりました。当時、英語が苦手だった私からしたら、驚いて仕事が辛く感じることもありました。さらに、新人時のローテーションで、部署が変わったときにはより多くの外国籍社員と話さなければならない状況が出てきて、その時は非常に困りました。それでも文章を書くところはまだなんとかできる状態だったので、少し電話を避けて基本はチャットでコミュニケーションを取る形で仕事をしていました。
言いたいことが言えず苦労した前半戦
―受講前のお気持ち、また受講中において、どのようなことがありましたか?
山田:受講前には1日中英語漬けになるのかと恐れおののいてしまいましたが、直前にはむしろ面白そうだな、楽しみだなという気持ちで研修に臨みました。しかし、始まってみるといきなり、「自分はここまで英語がわからないのか」とネガティブな気持ちになりました。講師のコナー氏が何を話しているかは半分くらい理解でき、ゆっくり話してもらえれば8割くらいはわかる。ただ、自分が言おうとしていることが2割も言えない状態でした。さらに、言えないだけではなくて、話し出すタイミングがよくわからない状態になっていました。この点は一番苦労し、言いたいことが言えないというモヤモヤが研修3日目くらいまで続き、苦しい期間でした。
10日間の研修スケジュール
(※)2021年より、サービス名称が「5日間在宅海外研修」に変更
しかし、3日目以降このままではまずいと思い、とりあえず考えがまとまっていなくても口に出してみることに挑戦しました。するとコナー講師が言葉の節々から言いたいことを推測してくださって、なんとかコミュニケーションができるようになりました。そこからメンタル的にも少し落ち着き前半戦が終わるころには、このままいけば、後半戦もうまくいくのでは?と非常に楽観的に捉えていました。
同期のアドバイスに救われた後半戦
―後半は外国人のBuddyとペアになって取り組む実践的なトレーニングでしたが、どうでしたか?
山田:中々言いづらいのですがどん底もどん底でした。また、すごく落ち込みました。これは私の推測ですが、コナー講師と違い、ペアを組んだBuddyのトイ氏が日本語慣れしていなかったためかなと思っています。というのも、私は話す時に「うーん」など日本語風の言葉をよく言ってしまうのですが、それがトイ氏にとってはかなり辛かったらしいのです。私がなにかを一生懸命話そうとしている、一方トイ氏は言葉ではない「あー」とか「うーん」とかそういう言葉まで聞き取ろうとしていた。そこで中々コミュニケーションが取れず、また落ち込んでしまいました。
実は苦しい中で、研修の後にオンライン飲みで同期と話をして、「いま、こういう課題があって苦しい」と伝えたところ、色々とアドバイスをもらいました。そこで、一度トイ氏に自分のどこが良くないかを聞いたところ、「言葉ではない言葉がわからなくて、あなたの言いたいことを理解するのに苦労しました」と言われて、初めて気づきました。原因が分かったことで、それから再び少し楽になっていきました。同期と受けていたからこそなんとか後半1週間持ちこたえられたのかなと思います。
外国人Buddyと企画提案に取り組む、英語漬けの毎日
―オンラインですと、その日の研修が終わってPCを閉じれば外は全部日本の世界ですよね。それでも、タフなトレーニングでしたか?
山田:想像していたより大変です。1日の半分くらいは、英語で話すタイミングがあります。実際は研修時間後もトイ氏と話しており、PCを閉じたらほどなく就寝、朝起きるとすぐに研修が始まっていたからです。それがより苦労した要因かもしれませんが (笑) PC閉じたからといって、全部日本語の世界ではなかったです。
一方、トレーニングの題材であった、「タイの企業に向けて企画を考える」というのは、普段から仕事でやっていることもあり、そこまで苦ではなかったです。しかし、全く知らない土地の、英語しかコミュニケーションが取れない相手からヒアリングして、Buddyと共に英語で考えるという部分はかなりハードルが高かったなと今では思います。
オンラインだからこそ、短期間で学べることもある
―振り返って、今回の研修の内容についてどのように捉えていますか?
山田:受講前、前半の研修に対して、「いきなりタイ人とペアを組んで英語で実践トレーニングするのはハードだから設けられているのかな?」くらいに思っていました。しかし、前半の研修もすごく実践的だと感じました。というのも、学んだことの少なくとも一部は、その瞬間や、翌日からすぐに使える内容が盛り込まれていたからです。私が自身でこれまで取り組んできた学習ですと、何かの試験対策やリスニングのように学問的になっていました。もちろん、(その学習方法で)全く話せないということはないですけど、すぐに使えるちょっとした言い回しとかは学習していなかったので、ビジネスには直結しづらい学習の仕方だったなと、今では感じています。
研修の前半と後半、どちらにも壁があって、前半の研修がなかったら、後半はもっと大きな失敗をしていたと思います。もちろん、直接海外に行くのと研修を受けるのとでは海外に行ったほうが苦労する場面は多いと想像しています。だからと言って「リモート研修は質が落ちるのか?」と言われると決してそんなことはなくて、核となる大事な点はリモート研修でも充分学ぶことができると思います。また、リモートの研修だからこそ、的を絞って大事なところをわかりやすく伝えてもらえたと感じる場面もありました。例えば、私が英語を話すとき、「自信を持って、まずは話してみる」というのは海外に直接行った場合ですと誰も指摘してくれないはずです。なので、2,3週間悩んでから実践してみるという形になったと想像できますが、今回ですと数日で結果的に、精神的にもそういう状態になって話すことができたと思っています。
山田氏と本研修を企画した鈴木氏(左)と細田氏(右)
失敗を恐れず受け入れ、積極的なコミュニケーションに変化
―この研修を受講して変化したことはありますか?
山田:実は研修後、英語でかかってきた電話を取り次ぐ回数が確実に上がっているんです。まだ話せないときはあるのですが、少なくとも電話を取って頑張ってみようという気持ちは自分の中で芽生えたと思います。これは怖さが薄れたからでしょうか。まだ電話を取ると何かしらの失敗をしてしまうこともあります。英語で間違った表現をして伝わらない、などと色々なことが起こるのですが、それらも「一旦こういうものだ」、「一時の恥だ」と捉えて受け入れられるようになったと思います。「なんとかなるだろう」と楽観的になることができました。また、会議での発言回数は間違いなく増えていますので、着実に変われていると思います。本当にいい経験をさせてもらえたなと思っています。
■■株式会社セブンシーズとは■■
ビジネスシーンに特化したGlobal Communication Skills Trainingをテーラーメイドで提供。 在席する海外籍コンサルタントはひとりあたり年間約1,000件のビジネスサポートを担当。語学だけに頼らないビジネス文脈を踏まえたトレーニングが大手外資、総合商社、IT、金融など多数のグローバル企業に好評。
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