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高校生とのかかわりが社会人としての”ラーニングフィールド”に vol.1

「都立高校生向け “起業家教育” 起業創業ラボ」に参加した社会人伴走者「メンター」には、どのような学びがあったのか。2021年7月に開催された本プログラム(東京都教育委員会主催)では、参加高校生が、オンライン上でチーム活動行い、課題解決テーマに対するビジネスアイデアを考えます。そして、1ヶ月半のプログラムの期間、各チームに一人の社会人が伴走してきました。

2021.12.24

高校生チームに関わるメンターの魅力と難しさ

‐皆さんにとって、高校生と過ごした1ヶ月半はどのような期間でしたか?

加藤氏:気持ちが常に彼らと一緒にある1ヶ月半でした。高校生たちは何度も試行錯誤を繰り返しながらビジネスアイデアをつくっていましたが、私自身もメンターとしての接し方を試行錯誤していた感覚があります。正直に言うと、私には「このまま終わっていいのか」という危機感があり、私から介入しすぎてしまった場面もありました。一方、私が意見を出してしまうとそれにとらわれてしまう可能性もあったので、あえて介入しない事の重要性も感じていました。このようにメンターとしての距離感に難しさがありましたが、彼らのアイデアが採用されなかった時には私も落胆するなど、気持ちは常に一緒にあったと思います。

藤林氏:高校生の可能性を信じ切るという点で、私自身のコンフォートゾーン(不安を感じない行動範囲)を拡大させた1ヶ月半でした。普段の私はリーダーとして人と接する際、口を出しすぎてしまいます。今回は、「沈黙を恐れないこと」を目標に掲げてメンターに取り組むと決めていました。実際にラボがはじまると「この案はどうか」「こうすればもっと良くなるのではないか」と言いたくなることがありました。しかし高校生が今までやったことのない領域で努力している姿を見て、私自身もコンフォートゾーンの拡大に挑戦できました。

井村氏:自分を知る機会になった1ヶ月半でした。アイデアを期限内に形にしないといけないと焦らされる状況で、人に対しての言葉遣いや会話の姿勢などに気づけた場だったと思います。自分が何に焦りを感じるのか、何にイラついてしまうのか、客観的に向き合う時間になっていました。他のメンターと進捗について話している時も、人との違いを知るきっかけになり、自分自身を改めて知ることができました。

齋藤氏:高校生と一緒に、私自身も起業創業ラボに没頭した1ヶ月半でした。最初の頃は高校生同士がうまくコミュニケーションできていない様子を見て気を揉みましたが、これがかえってメンターとしての接し方をアレコレと試す機会に繋がりました。普段の仕事ではできない仕掛け方をできましたし、それが自分の中での気づきと没頭に繋がっていったのだと思います。

‐どんな場面でメンターとしての難しさ・喜びを感じましたか?

加藤氏: “待つ”ことが難しかったです。私は待てずに喋ってしまうタイプなので。これは自分が勝手に場に対して感じていることですが、沈黙をすぐに気まずいと思ってしまうのです。でも彼らはただ黙っているわけではなく、一生懸命考えているからこそその場に沈黙が生まれていると改めて気づきました。とはいえ、考えがちゃんと熟成するのを待つというのは、難しかったですね。

藤林氏:私も、沈黙を恐れないという事が1番難しかったです。だからこそ私はグループにアプローチする際の言葉選びに時間をかけて、高校生たちがアイデアを出しやすくすることにこだわっていました。

加藤氏:高校生たちが分かるように答えを教える、というよりは、『ん?』という違和感を受け取らせて、そこから自分たちで考えて気づくことが理想だ、と改めて思います。

藤林氏:そうですね。『例えば世の中にはこんなものもあるよね?』と投げかけ、その後に生徒達が『じゃあ◯◯は…で…』と連想できる一言を選んでいましたし、これが楽しかったことでもあります。

加藤氏:もし言い方を間違えると、『じゃあ、それにすれば良いんだ』と真似てしまうこともあるので、難しいのです。問いの立て方をはっきりさせてしまうとただの指示になってしまいますから。いかに程よく刺激するかを考え、狙い通りに議論が活性化した時は楽しかったです。

井村氏:『ビジネスにならないとダメですか?』と聞かれたことを覚えています。「お金の回る仕組みがなぜ大事なのか」という素朴な疑問が心に刺さりました。一般的に正解とされるものと、高校生の想像とのはざまについて、その伝え方が難しかったですし、ハッとさせられることもありました。

藤林氏:確かに高校生達からしたら、ビジネスをすること自体が雲をつかむような話とも言えますよね。最後のプレゼンの時、高校生が彼ら彼女ら自身の目線で事業を語ろうとしていることが印象的でした。最初はそうした目線では語れないだろうと思っていましたが、最終的には彼ら自身の言葉で語れるようになっていました。これが私の喜びかもしれません。

齋藤氏:私のチームの高校生も、頭の中のモヤモヤを言語化することに苦労しました。本音を出して、本当の課題を突き詰めて、共通認識までもっていくことがすごく難しかったです。

加藤氏:モヤモヤしている理由には宝が埋まっている可能性が高いから、放っておくわけにいきません。言語化して明らかにしたいけど、そこでメンターが入りすぎては生徒達の葛藤を奪ってしまう。このバランスが難しいです。

vol1.まとめ
高校生たちは、自分の中にある言葉では言い表しきれずにモヤモヤしてしまうのだと思います。ビジネスアイデアを考えるという難しい取組みの過程で、生徒たちも自分のコンフォートゾーンを少しずつ広げ、自分の言いたい事が言えるような考えや言葉を得ていく。そんな経験もしていたのではないでしょうか。

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