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グローバルビジネスにおける修羅場経験とは?

ここ数年、「『仕事はできるけど海外経験がない』という人向けの人材育成プログラムはないか」というお問い合わせを頂くことが増えました。育成対象となる層は、企業によってさまざまです。

ここ数年、「『仕事はできるけど海外経験がない』という人向けの人材育成プログラムはないか」というお問い合わせを頂くことが増えました。育成対象となる層は、“一通りの仕事ができる”若手層から、海外事業の主要ポジションを担わせたい中核人材、さらには経営層一歩手前で海外経験のないことだけがボトルネックの経営幹部候補まで、企業によってさまざまです。

このような相談は、海外への「赴任者」の数が限られており、自社ビジネスを通じて育成目的の海外経験を積ませることができない(できなかった)という企業から頂くことが多いです。

自社ビジネスではない別の育成機会を設けて海外経験を積ませる場合、どのようなポイントを押さえるべきなのでしょうか。ある消費財メーカーの若手社員が、研修生という立場でローカル企業に派遣された実例を元に考えていきたいと思います。

国内営業をしていた彼女は、4週間、ベトナムの食品系企業に研修生として派遣されました。そこで与えられたミッションは、新商品であるサプリメントの販路を作り出すこと。

「4週間しかない中で販路を作るなんて、どうしたらいいんだろう?」困惑からのスタートでした。手始めに食品を扱う店舗に営業をかけてみようと思いましたが、土地勘のないベトナムにおいて、「どこにそんなお店があるのか」すらわかりません。社内の人に聞いても、「過去に電話した企業のリストならあるよ」「あのへんは食品店が多いんじゃないかな」という、なんとも曖昧な情報ばかり。日本ではあり得ないぐちゃぐちゃな環境の中で、先が見えない状況でした。

ところが4週間後、彼女は自信に満ちた様子で私たちの前に現れ、「この経験を乗り越えたことで、どこでも誰とでもやっていけると思います」とインタビューに答えてくれました。4週間という短い期間で彼女はどのような経験を得たのでしょうか。

「違い」とそれが引き起こす難しさを実感する

彼女がまず手を付けたのはリーフレットなど、販促ツールの制作でした。ベトナム人スタッフと打合せをし、社外のパートナーとの打合せを行い・・・と進めていく中で、ベトナム人の勤勉さに触れ、仕事が順調に進みそうな手応えを少なからず感じていました。

そんな矢先、突如、納期までにリーフレットサンプルが届かず、予定した顧客との打合せをできない状況に追い込まれました。必死でリカバリー作業に取り組む一方、彼女は冷静に「ベトナムでの納期意識は日本とどのくらい異なるのか」「日本人とベトナム人とが互いにストレスなく仕事を進めるためには、どのような手を事前に打つべきなのか」と考え、次第に営業活動を「自ら設計」していきました。

異文化の環境で仕事をするわけですから、このようなすれ違いは日常茶飯事です。もちろん、うまくいかないことをストレスに感じることもあるでしょう。しかし、その度に苛立ったり焦ったりするのではなく、彼女のように「今自分の身に起きたことに異文化で働く際のヒントはないか」「今後同様のすれ違いを起こさないために、事前に工夫できることはないか」と考えることで、海外での経験が価値に繋がると弊社では考えています。

“修羅場”で、いつもとは異なる手段を考え、意思決定する

販促ツールができあがった後、いよいよサプリメントを商品棚に置いてくれる企業を探すために、彼女は営業活動を開始しました。ところが電話をしても、相手はベトナム語。どうにか英語を話せる人に繋いでもらっても、現地の人の所得から考えると「高級品」にあたるサプリメントに興味を持ってくれるお店はなく、次第にリストは尽き・・・これまた次の壁にぶつかります。

簡単に折れない彼女は発想を切り替え、電話による営業がダメなら現地日本人ネットワークを活用できないかと考え、自身の出身大学の卒業生が集まる現地の日本人交流会に参加しました。そこで、たまたま現地でビジネス展開をしている、日本の大手小売チェーンの方と出会います。そして彼女は、その場で自分が扱っている商品を紹介し、商談の日程を設定させてもらうところまでたどり着いたのでした。

実は、派遣前に彼女が担当していたのは、国内の既存のお客様に対する「ルート営業」。彼女にとっては、今回の新規顧客の開拓自体が一つの修羅場でした。

“修羅場”という言葉は、人によってレベル感が異なります。ウィル・シードは「これまでのやり方が通用せず、自分自身の当たり前が揺さぶられたり、今までに抱えたことのない問題を一気に抱えたりという体験」だと考えています。

海外、特に新興国でのビジネスは、情報も整っておらず“修羅場”に直面しやすい環境です。一方で、取りうる手段は無限にあり、試行錯誤する余地は多分に残っています。日々取り組んでいることとは異なる手段、考え方、人脈などに試すことによって、新たな自分を発見し、更なる成長の起点を作れることこそが、海外という修羅場を体験させる価値だと考えています。

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