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中核人材の成長ヒストリー(1)

今回は所属組織の特性について、ハイパフォーマーの成長ヒストリーを論じます。どのような組織での経験がどのような成長につながったのでしょうか

“未成熟の組織”に所属する意味

ハイパフォーマー調査の概要については、コラム│「企業で一目置かれる中核社員の特徴」をご参照ください。

今回のテーマは「所属組織の特性」です。一般的に、新卒総合職社員は入社10年のうちに2~3か所の部門に所属することが多く、そこには長期的な総合職人材育成に向けた様々な意図があります。所属組織に注目すると、今回対象となったハイパフォーマーが語った「過去の配属部署」の特性について、一定の共通性が見えてきました。

端的に表現するならば、見出しにもある「未成熟組織」への所属経験がそれに当たります。例えば、新たに立ち上がった部門、海外現地法人(主にはトレーニーとしてですが)、ノンコア事業の組織、地方支社/支店といった組織への所属です。

特徴についてより抽象的な表現をすると「運用システムが整っていない」「組織規模が小さい」「個人の責任(範囲や質)が重い」といったものが目に付きます。

いわゆる「修羅場体験」のような、一つのドラマチックな経験の有無ということではなく、もっと日常的で、構造的な特性として考えるのが良さそうです(当然、このような特性の環境下では修羅場体験の発生確率は上がりますが)。

そういった環境構造の中で、彼ら彼女らは何を得てきたのでしょうか。いくつかの示唆に富む共通性があります。「自身の居場所、すなわち存在価値を見出す不断の努力」「やり方に対する創意工夫」「目的のために多少のリスクを恐れない試行性」といった行動特性が、日常的な活動を通じて“当たり前化”していったのです。

また、「組織が小さい」「責任が重い」という状況がそうさせるのですが、日常的にトップマネジメントや現場との接点が増えることで、事業経営~具体活動という全体観を身につけていくことも分かりました。

これについては、純粋な知識量の強化以上に、彼ら彼女らが何か新しいことに従事する際の「意味づけ力」の強化に繋がっていることが、大きな価値であるようでした。事業的な意味合いや現場の価値といった視点を持って活動を推進していく。それは個人のモチベーション向上に寄与するとともに、周囲を巻き込むうえでの重要な柱となっていくのです。

はじめは「嫌」だとしても

そもそも、上記で挙げたような組織への配属が決まった時、ハイパフォーマーは必ずしも諸手を挙げて喜ぶということではなく、むしろ悲観的な感情が先んじることもしばしばありました。以下はインタビュー時のコメント抜粋です。

結局玉突きの人事異動だと思いました。正直行きたくなかったです

「本当に行くんですか?死んじゃいますよ」と上司に言っちゃいました

会社の中では王道の部門ではなかったので、キャリア的にだいぶ不安になりました

今の部門でやっと実績が出始めてきたのに、またイチからと思うと悲しくなりました

いま振り返れば、「あの時の経験が今に繋がっている」と皆口をそろえますが、異動を打診された瞬間や確定した瞬間にそのような前向きな発想があったかというと、そうではない、ということです。

その中で彼ら彼女らが何をもって覚悟したかと言えば、程度の差こそあれ、単純化すると2系統の発想です。

「仕事だからやる」という強靭とも柔軟ともいえる就労観と、もう一つは、「自分がやる以上はより良くやれるはず」という“自分への期待”でした。ちなみに、新たな配属先でのミッションに対する明確なゴールイメージのようなものは、ほとんどの方が持ち合わせてはいなかった、ということも付け加えておきます。

それ以降は、先に述べたような環境構造の中で、半ば必要に駆られる格好で、模索とチャレンジの繰り返しになります。繰り返しの中で、「主体が圧倒的に自身である」という自覚が、“自分への期待”に応えるような恰好で、一層の活動促進に寄与していきます。

ここで大事なことは、彼ら彼女らにとっては「やりたいことをやれた」ということではない、という事実です。にもかかわらず、あたかも自分が選択したような体で経験に没入していく。そういった特性が、今回のハイパフォーマーの多くには見て取れました。

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