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〈個〉を生かした社会、その先に広がる未来

「自分らしく」を第一にしながら、挑み、学び、変化する機会を提供し、社会を変える機会創出に取り組んできたウィル・シード。これまでに提供してきた〈探求的な学び体験〉を通じて培ってきた見地をベースにし、2022年、新たなチームが発足しました。それがX-Border Fantasy(クロスボーダー・ファンタジー)です。

X-Border Fantasyのコンセプトは「越境による共創で意志ある未来づくり」。さまざまな環境変化が進む今、私たち企業、さらには個人もパーパス(存在意義)を起点にし、社会課題解決に向けて多様なステークホルダーと協働していくことが欠かせません。しかし、日常にはそのための実体験が不足していることも事実です。X-Border Fantasyでは、そのための学習機会を創出します。

提供するサービスは、主に二つ。リアルな社会課題に向き合う「GIFT」、自分の想いに向き合う「SHIFT」です。いずれも企業の枠を超えた異業種メンバーと対話や価値観の交換を重ねていきながら、自分の志や仕事観を捉え直していきます。こうした越境学習体験によって引き出された〈個〉の意志が、やがてはより良い社会を実現する。X-Border Fantasyは、そのように考えています。

X-Border Fantasyの発起人である岸本 渉、中川孝晃、小林陶哉が、それぞれの思いを語ります。

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より良い社会のため、個人が意志をもって挑み、学び、変化する

時代にマッチするアンラーニングのあり方

岸本:かつては出社して働くことが当然だったように、仕事観や働き方など、前提となっていたものごとがコロナ禍によってくつがえされています。以前から「時代は変わっている」「これまでと同じ考えでいてはならない」と言われてはいましたが、個人や企業がこれまで常識だと思っていたことをいったん保留にしてみたり、必要であればかなぐり捨てたりと、今こそ価値観や考え方をアップデートしなければならないと思っています。つまり、アンラーニングですね。

アンラーニングとは、単にPDCAをくり返して改善していくのでなく、仕事への信念や物事の捉え方・スキルなど自分が持っているものをいったん手放してみて、そのうえでいかに変化に適応していくかを考えることといえます。

働きながら新たな価値観を得る機会というと、異動があります。異動は人材開発においても重要な機会として捉えられています。例えば営業からマーケティングに異動し、それぞれの部門ならではの価値観があることに気づく。しかし、異動は基本的に自社内での動きのみにとどまります。

こうしたアンラーニング体験は従来からありますし、そこで得られるものもありますが、今は自社が一人勝ちできれば良いという時代ではありません。多様なステークホルダーと連携しながら価値を創出できるような、ビジネスエコシステムの構築をしていかなければならない時代です。

こうした状況をふまえると、今の時代にマッチした、価値共創体験を通じたアンラーニングの機会は世の中に欠けていたように感じていました。そうした思いから、X-Border Fantasyはスタートしました。

 

越境学習で広がるビジョン、確立する〈個〉

中川:ウィル・シードではX-Border Fantasy設立前から、会社という日常を離れて社会起業家に伴走し、社会課題の解決に向き合う越境型プログラムを提供してきました。参加者のみなさんの様子を見ていると、リーダーシップが磨かれる中でも、新たなスキルを得るというより社会に対する意識が高まっていたのが印象的です。自分自身を「企業に所属する一個人」としてだけではなく、「社会で生きる一個人」と捉えられるようになったと言ったらわかりやすいでしょうか。

越境によって全く異なる価値観の人々と共創したことで、自社に貢献するだけでなく、社会全体を良くしていくことはできないのだろうか。そのように一段高い観点から俯瞰し、自社の存在意義や自分の仕事を捉えられるようになったのだと思います。

岸本:つまりは、仕事のためでなく、これからの社会づくりのために個人の信念をアンラーニングする体験をしたということですね。今の社会には本当に多種多様な課題が山積していて、その要因も複雑に絡み合っています。社会課題を誰もが「自分ごと」にしていかなければ、より良い社会は実現できないとさえ思います。

小林:それに早くから気づき、なんとかしたいと考える企業さまは増えているように感じます。越境型プログラムを始めたばかりの頃、「参加者が〈個〉として社会や世の中としっかりとコミットできる場をつくってほしい」というオーダーをクライアントさまからいただいたこともありました。

 

理想を現実に。そのための道をつくるX-Border Fantasy

岸本:事業活動において、短期利益を重視したり、いかに自社が競争優位を保ち価値提供するか、が論点になることはどうしてもあると思います。「みんなでより良い社会を」だなんて、ファンタジーにすぎないと感じるかもしれない。ですが、多様な企業や団体が垣根を超えて一つになり、自分の常識がくつがえされたり、それによって新たな視座を得たりすることで、今までは無理だと思っていた世界や理想に近づけるのではないでしょうか。X-Border Fantasyという名前には、そうした願いも込めています。

小林:個々が小さくとも問題意識を持ちながら仕事をしていくことができれば、解決できることが増えていくはずですし、社会は豊かになると思うのです。その思いを誰かと交わしてみて、目線の合うものがあれば、仕事として一緒にやっていけたら理想的ですし、新たな価値創出につながるかもしれません。

これは私の個人的な考えですが、人間は一人ひとりが表現者として生きていくことができたら幸せだなと思っています。表現者と言ってもアーティストやクリエイターではなく、自分らしく在るとか、自分の力を存分に発揮して社会や誰かのために役立てるとか、そういうことなのですけれども。ただ組織の中で働いていると、個人で出せる力がたくさんあるはずなのにうまく発揮できないとか、そうしたことは往々にしてあると思います。

岸本:学生時代の就職活動を通じて「自分はこんなことをやりたい」と、熱い思いを抱くのだけれど、いざ入社してみると、組織でのミッションが最優先されてしまって〈個〉の意思が沈んでしまうといったこともありますね。

中川:ウィル・シードでも新入社員研修プログラムを提供しており、一面的には個人が組織に適応するための文脈をサポートしていると言えます。もちろん、それも大切なことです。ただし我々は、組織に適応したうえで、どうしたらその人がその人らしく働けるのだろうか、それについてもずっと考えてきました。

もともとウィル・シードは、個人の〈will〉を大切にする人を増やしたいという思いの元に歩んできた会社です。X-Border Fantasyでやろうとしていることの一つに、〈個〉としての思いを取り戻してほしいという感覚が強くあるのです。そこにダイレクトにアプローチしていくつもりです。

 

現代のキャリア開発に矛盾はつきもの

岸本:キャリア自律を推進することはもはや会社の生き残り戦略です。変化が激しく先の見えない時代においては、個々が環境変化に適応しながら、主体的に行動し、継続的にキャリア開発に取り組むことが、会社としての価値創出にも繋がるからです。とはいえ、会社には組織に人を適応させていくためのキャリア開発も一定必要です。ここに個人のキャリア自律を推進しすぎると、組織にとっての利益が損なわれるのでは?といった一種の矛盾が生じます。しかし、この矛盾を受けいれた上で、企業・個人共に利する施策は何かを誠実に探っていくべきだと感じています。

中川:矛盾はありながらも、〈個〉としての幅を持つ人、信念を強く持つ人に会社にいてほしいと考える企業さまは増えつつあるように感じています。そのためのサポートは、まさにウィル・シードが得意としてきたところです。
先にも話したX-Border Fantasyの前身となる越境型プログラムに参加した大手企業の方が、次のようにおっしゃっていました。「プログラム終了後、職場に戻って改めて思ったことは、自社にはリソースがたくさんある、これを活用したらできることがまだまだたくさんある。社会起業家の方とご一緒して、自分はなんてチャレンジしやすい環境で働かせてもらっていたのだろう」と。当たり前だと思っていた自分の環境への捉え方が変わったことで、周りに発信したり、新たなことにチャレンジしたりといったことへのハードルが下がったそうです。

ご本人が気づかなかっただけで、元からその企業はリソースや環境が整っていたとも言えますが、働く人がポジティブに感じられる組織になっていくことを間接的にサポートできたのかもしれないと思いました。

岸本:人それぞれで働く目的は異なると思いますが、〈個〉としての信念にめざめたり、できることに気づいたりしたとき、改めて自社を見つめ直してみると「ここでできることがある」と気づいたのですね。会社に自分の活用を任せるのでなく、むしろ自分が会社をどんどん活用していくと言ったら、大げさでしょうか。

 

キャリア開発は、企業のため? 社会のため?

岸本:〈個〉の思いが強まれば、もしかしたら会社を辞めることになるかもしれません。転職や起業は以前よりも一般化していますから。
昨今、企業の社会的な存在意義(パーパス)を見直す企業も増えています。だからこそ企業のパーパスと自分のパーパスは一旦分離して、「自分はそもそも何をやりたかったのか?」と揺さぶりをかけられる体験を、誰もが一度はしてみてもいいと思うのです。同じ価値観の人とばかりいては気づけないことがありますし、自分の役割や立ち位置もわかっているから「こういう役回りで動けばいいのだろう」と、予定調和の中だけで仕事をしてしまっては、自分自身の未知の可能性にも気づけないと思うのです。

中川:先日ある方が、自社の事業活動に貢献できるだけではなく、社会全体にも貢献していける人を育成していくことが企業の社会的責任だとおっしゃっていました。自社の事業を拡大するだけではなく、より良い社会をつくっていくためのアクションを起こせる人を増やす。人材育成を、社会に資する人を増やすための機会だと捉えていらっしゃいました。

小林:社会に資する人を増やすことが、自社の経営人材として活躍し続けることにつながるのか、そこは我々X-Border Fantasyのメンバーも幾度となく議論を重ねてきたところです。ただ、過去には「プログラム参加者が将来的に会社を飛び出し、自分の道を切り拓くことになってもいいから」と、ある意味で覚悟を決めた人事ご担当者の方ともお会いしてきました。個人的な感触ですが、〈個〉を生かす企業や社会を実現したいと本気で願う方々が、ウィル・シードに声をかけてくださっているのだと思います。

岸本:どうすれば〈個〉も組織もよりよい状態にできるのか。それはサービスを提供する我々も自分たち自身に常に問うていることです。もしかしたら、せっかく育った人材が会社を辞めてしまうこともあるかもしれない。そうした可能性がありながらも、自社の社員一人ひとりの〈個〉が秘める可能性を信じて向き合っていらっしゃるみなさまとご一緒するのですから、我々も真摯に誠実であり続けたいと思っています。

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X-Border Fantasy(クロスボーダー・ファンタジー)

岸本渉(きしもとしょう)
X-BorderFantasy室長。博報堂、ファーストリテイリングを経て、ウィル・シードに入社。コンサルタント・営業責任者を経て「越境で共創する、意志ある未来づくり」を志向する新プロジェクトX-Border Fantasyを立ち上げる。越境学習に可能性を見出し、様々な大企業リーダー変革の越境プロジェクトを企画・推進する傍ら、ファシリテーターとしても、組織で働き成果を出すこと、人が自分らしく自分の「本物」と繋がること、この両方を諦めない場づくりを追求している。

中川孝晃(なかがわたかあき)
X-BorderFantasyジェネレーター。楽天で新規営業、社長室にて秘書・経営企画業務、リサーチ部門でのBtoBのマーケティング支援等に加え、新卒2年目から育成を担当。部門の育成体系構築、英語公用語化プロジェクトなど一貫して人材育成にも携わりウィル・シードへ。X-Border Fantasyの原点となるPBL型越境サービスを顧客・パートナーと共同開発。その後も次々と前例に無い企画を共創パートナーと生み出し、ファシリテーターとしても場に立ち続ける。

小林 陶哉(こばやしとうや)
HRD事業部長。仏企業の日本進出コンサルティング業務に従事し、フランス投資ファンドと共同でヨーロッパ企画のエシカルコスメ商品を輸入販売するJV事業の立ち上げを代表として務めた後、ウィル・シードへ。オンライン教育事業やグローバル派遣事業、X-Border Fantasyの原点となる地域課題解決と連動した越境型プログラムなどの立ち上げ・開発に携わる。現在は国内事業の責任者。

コンセプトページ
サービス企画書
・これまでのケーススタディ(一部)
DXの意識と行動の浸透顧客と共に創出する未来
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
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パーソルキャリア株式会社

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