CASE22DXの意識と行動の浸透
顧客と共に創出する未来

株式会社
エヌ・ティ・ティ・データNTT DATA Corporation

インタビュー風景

昨今の市場環境変化や技術革新にともなって、企業が顧客に提供する価値と、それを担う人材に求められる能力も大きく変わってきています。主任および課長層向けの研修において、早くから変化に合わせた未来志向のプログラムに取り組まれてきたエヌ・ティ・ティ・データ様に、背景や取り組みをお伺いしました。

顧客に新しい価値を提供し、
顧客の事業に貢献するために

ー主任向けプログラムの内容を変更するにあたり、当時課題に感じていたことを教えてください。

阿部:弊社の事業分野は、公共・社会基盤分野、金融分野、法人・ソリューション分野の3つに大別されます。人事については、全社的な人事や人材育成を統括する人事本部に加え、分野ごとに人事部門が配置されており、私たちは法人・ソリューション分野を担当しています。

エヌ・ティ・ティ・データ 人事部次長 三浦 康久 氏
エヌ・ティ・ティ・データ
法人ソリューション事業推進部 人事育成担当
課長代理
阿部 竜也 氏

弊社の事業の主軸は顧客企業の情報システムの構築ですが、求められるニーズは徐々に変化しています。システムづくりだけでなく、お客様のビジネスを変革するパートナーとしての役割も期待されるようになりました。法人・ソリューション分野では、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)を成功に導くTrusted Digital Partnerになるというビジョンを掲げています。

私たち人事部門が提供する研修も、ビジネスパーソンとしてお客様と共に新しい価値を創造・提案できる力を育成するものを主任向けに行うようになりました。2015年頃からです。

中嶋:ちょうど同じ頃だったでしょうか、弊社が行った顧客満足度調査で「こちらの要望を聞くだけでなく、もっと提案をしてもらいたい」という意見をお客様から寄せられ、なんとかしなくてはと危機感を抱きました。

最新の技術を学ぶようなテクニカル系の研修であれば、教えるべきことが明確にあります。しかし、未知のものに自ら挑み、解決できる能力を伸ばすとなると「これさえ教えれば良い」というわけにはいきません。従来からあるような、QCDを守って決められた仕様通りに遂行するという、いわば受託一辺倒だった意識を改革できる研修を目指しました。

実戦形式のプログラムで
行動変容を促す

ーたしかに意識や行動の変革は、一筋縄ではいきません。主任向けプログラムは、どのような変遷があったのでしょうか。

中嶋:主任向けプログラムがスタートした当初、お客様の思いを受け止めるだけでなく、こちらから積極的に提案してもよいのだと伝えたところで、「職場の上司には求められていない」「本当にそこまで相手に踏み込んでいいのか?」といった戸惑いの声がありました。DXというキーワード、Trusted Digital Partnerという方針が示されていることは理解していても、実際の業務との乖離もあったと思います。研修の最中に参加者から「帰ってもいいですか?」と言われたこともあります。私たちとしても手探り状態で実施したプログラムでしたが、その一言はかなりつらかったです。

阿部:DXやTrusted Digital Partnerを知っているだけでなく、それを実現するために、参加者の意識や行動の変革を促す必要がありました。自ら設定した課題に対してアクションを起こしていく際のプロセスやマインドセットに始まり、そこから踏み込んで、お客様のビジネスにフォーカスしたものへと、数年かけて変わっていきました。参加者は、営業・コンサル系、もしくは開発系の業務に携わっている人に分けられます。ここ3年ほど、前者の社員は「お客様視点で考え、提案していく」といったアプローチが自然とできている人も増えてきました。ただ、開発系の社員は、クオリティコントロールに強く意識が向いてしまう社員も少なくないようでして、ビジネスを起点に日々の業務を捉えられるよう、改善していければと考えています。

ー現在、行っているプログラムの内容について教えてください。

阿部:主任向けプログラムはブラッシュアップを重ね、2018年からは新たな施策が始まりました。プログラムに対して、参加者がいかにリアリティを持てるかが大切だと思っています。具体的には、実際に弊社のお客様を、プログラムにおける仮想顧客と設定し、課題解決に向けた企画立案・提案を行うといった内容です。2020年の仮想顧客は、家具・インテリア業界の企業でした。自社の営業担当者に入ってもらい、お客様の現状の課題や方向性についてプログラム内で参加者に話してもらいました。参加者は情報をインプットしたのち、消費者ニーズを掘り下げてDXの観点で機会領域を探索し、ビジネスやサービスを立案していきます。

中嶋:このプログラムが出来上がるまでに、当時の課長と何度もディスカッションしました。時間をかければ良いプログラムが生まれるわけでもなく、何ヵ月も悶々と考える時期が続いたものです。弊社の新規ビジネスを立案するというプログラム案も出ました。しかし、当時の弊社では新規ビジネスを考えることの難しさがあったと同時に、誰のために新規ビジネスを提案していきたいのかと考えると、自社ではなく、お客様のためだと思いました。であれば、実戦に近いほうがより有意義なものになるはずだと思い、実際のお客様をプログラムにおける仮想顧客として提案する今の内容になりました。

インタビュー風景

社員のために、
人事がすべきことは

ー参加者のためになるものをと、とことん考え抜いたことがうかがえます。

中嶋:主任層だけでも100人以上の社員が研修を受けるため、その稼働と影響力を考えると無駄なことはできないと思いました。私たちがいい加減なことをすると、参加者の人事に対する信頼を失い、誰も研修に来てくれなくなります。

もう一つ、最前線に出ていく社員に武器をつくってあげたかったという思いもあります。「さあ、お客様のパートナーになりましょう」「これからは新しいアイデアをどんどん提案していきましょう」と言っても、なんの武器も持っていなければ、良い結果が出るはずがありません。私たち人事担当者にできることは、社員に自信や強みを持たせることだと思っています。

ー2018年からは課長クラスの管理職向けに選抜異業種リーダーシッププログラムも始まりました。

中嶋:他社のメンバーを交えた異業種混成チームで東北の社会起業家の課題解決に向けた提案活動を行うプログラムです。我々の当時の上司がこのプログラムの実施に積極的だったのですが、導入当初、個人的にはどのような効果があるのだろうかと懐疑的でした。

異業種プログラムは世間一般でよく行われていますが、正直、出来合いの研修に送り込んでも意味がないような気がしていたのです。既存の研修にぽんと送り込んで、法人・ソリューション分野の課題に対して良い結果が出るのか、と。何となく「良い研修だったね」で終わるのではないか、と。主任向けプログラムがそうであったように、私たち人事は、会社・分野の方針にマッチするプログラムを、私たち自身で考えなくてはならないと思っていました。

実際には想定していた以上の手ごたえを感じました。社内のプロジェクトであれば、課長である自分と部下の考えが異なる場合、リーダー層であり、発言力がある自分の考えを通すことが多かったと思うのです。このプログラムは同じ階層の他社メンバーとプロジェクトを進めていきますが、社内と異なり、自分が思った通りに物事が進められないこともある。外の風にあたったり、ディスカッションの価値を感じたりすることで、どのようなふるまいをすべきかを学べる機会になったと思います。自分以外の人がよりすぐれた解を持っているかもしれないという気づきも得られたのではないでしょうか。特にこれからは、オープンイノベーションの動きが活発になっていくはずですし、DXをさらに推進していくための柔軟な思考力や発想力も磨かれると感じています。

インタビュー風景
エヌ・ティ・ティ・データ
法人ソリューション事業推進部 人事育成担当
課長代理
中嶋 靖子 氏

もう一つ、東北の社会起業家と関わることで、エコシステム全体がうまくいくようにと発想を巡らせる経験もできました。例えば、資金をいかに確保するかといったところからの提案は、これまでやったことがなかったと思うのです。すぐに業務に反映できるかは別ですが、大手企業の大規模SIだけを請け負うという時代ではなくなってきていますから、エコシステムを構築できる人材は、ますます求められると思います。

ー今後の展望を教えてください。

阿部:お客様のビジネスは刻一刻と変化しています。DXやTrusted Digital Partnerへの意識については、社員のなかでかなり高まってきています。これが5年後になると、世の中の多くの方々がDXに触れている世界になるかもしれません。では、10年後はどのようなニーズがあり、どのような教育を行うべきなのか。大きなベースは変わらないかもしれませんが、情報を先取りしてプログラムをカスタマイズしていく必要があると思っています。

中嶋:組織の在り方にも変化があります。我々が担当する法人・ソリューション分野には3つの本部がありますが、近年、そのうちの一つに人事育成担当ができました。加えて、本部ごとに業務が専門化・細分化されるようになり、それぞれの課題も異なりますから、施策を検討するにしても従来のように分野全体で一律にというわけにはいかないこともあります。分野を俯瞰したうえで育成に携わる立場にある我々が果たすべき役割や何をすべきなのか、全社の人事本部との役割分担も含めて、考え直す岐路に立っていることを感じています。

東京海上日動火災保険株式会社

「Trusted Digital Partner」という目指す姿を実現するために、リアリティを伴いながら体験できる学びの機会を提供していることがうかがえました。キャリアの積み方や制度が個別化し、いま一度、真に社員のためになる人材育成施策を考えようとする姿勢がとても印象的でした。

岡谷鋼機

好奇心を刺激し、視野を広げる
自文化理解研修

CASE29岡谷鋼機

三井住友信託銀行

多国籍のビジネスリーダーと
対峙できるマインドとスキルを鍛える

CASE28三井住友信託銀行

大月市役所

官と民の共創が生み出す
創発効果

CASE27大月市役所

東京都教育庁 起業創業ラボ

共創が生む
新しい教育のかたち

CASE26東京都教育庁 起業創業ラボ

野村ホールディングス

ファイナンス部門が取り組む
「専門性×グローバル」
両利きの人材育成

CASE25野村ホールディングス

伊藤忠テクノソリューションズ

変化の激しいIT業界
未来を見据えたグローバル人材育成

CASE24伊藤忠テクノソリューションズ

NTTドコモ

新入社員のリモートワーク適応
職場と育成をいかに連動させるのか

CASE23NTTドコモ

エヌ・ティ・ティ・データ

DXの意識と行動の浸透
顧客と共に創出する未来

CASE22エヌ・ティ・ティ・データ

花王

トップブランドを目指す“Kao”の
新しいキャリア研修への挑戦

CASE21花王

東京海上日動火災保険

「価値観を揺さぶる」
リモートでのグローバルなビジネス経験

CASE20東京海上日動火災保険

株式会社バンダイナムコアミューズメント

三カ月間の新入社員研修からみえた
「オンライン」と「リアル」の違い

CASE19バンダイナムコアミューズメント

住友商事

人材育成を止めないために
舵をきった
「新入社員研修オンライン化」

CASE18住友商事

日本航空

新たな価値を生み出せる
変革者を育てる海外異業種体験

CASE17日本航空

サントリーホールディングス

グローバルビジネス意識を向上させる
『English Boot Camp』

CASE16サントリーホールディングス

アドヴィックス

組織の育成風土づくりの
きっかけは「新入社員OJT」

CASE15アドヴィックス

共立メンテナンス

『よい朝のために。』
ブランドを支える人材育成

CASE14共立メンテナンス

サンゲツ

若手の声ではじまった
キャリア開発の取り組み

CASE13サンゲツ

東京急行電鉄株式会社

報告会に100名が集う
シリコンバレー派遣研修

CASE12東京急行電鉄

日清食品株式会社

フィードバック文化を育む
成長実感会議

CASE11日清食品

Dell EMC

子どもも大人も学ぶ
社員参加型の教育CSR

CASE10Dell EMC

豊田市役所

自治体職員としての最初の一歩

CASE09豊田市役所

北上市 子ども創造塾事業

ナナメの関係で
地域の子どもを育てる

CASE08北上市 子ども創造塾事業

横河電機 情報システム本部

情報システム本部から広がる構想

CASE07横河電機 情報システム本部

ジェイティ奨学財団

CSRの新しいカタチ

CASE06ジェイティ奨学財団

三重大学・鈴鹿医療科学大学

チーム医療を学ぶ
カリキュラム作りへの挑戦

CASE05三重大学・鈴鹿医療科学大学

住友金属鉱山

ALP活動の狙いと効果

CASE04住友金属鉱山

東京海上日動火災保険

若手 × 階層別研修 × 海外体験

CASE03東京海上日動火災保険

パーソルキャリア

会社を飛び出して学び
会社の仕事に活かす

CASE02パーソルキャリア

サントリーホールディングス

海外トレーニー経験で
グローバル人材は育つ

CASE01サントリーホールディングス

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