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「グローバル・コミュニケーター」ってどんな人?

「グローバル」という言葉が「国際的」「インターナショナル」という言葉に代わって浸透し、人材育成の現場でも定着しつつあります。コミュニケーションに焦点をあてて、企業のグローバル化を支援されている株式会社セブンシーズ 揚石洋子さんにお話を伺いました。

先日、お仕事をご一緒させていただいた方々の名刺を整理しながら、あらためて実感したのですが、ここ10年間で、グローバル戦略室、ダイバーシティー推進部、HRD(Human Resource Development)など、英語やカタカナ表記の専門組織が一気に増えた気がしています。

以前、国際人事に所属されていた方のタイトルは、グローバル人財開発部、タレント・マネジメント・コンサルタントになっていました。まさに、多くの企業が、グローバルなビジネス戦略を実現するために組織の機能を強化し、「グローバル人材」の育成に注力していることがわかります。

グローバル人材の育成が急務である!という危機感

このように、グローバル人材の確保と育成が経営の最重要課題の一つであり、危機感をもって取り組まなければ!という声が高まってきているのは、明らかな事実です。しかしながら、会社では相変わらずTOEICスコアが昇格の要件となっていたり、書店の新刊コーナーには英語学習法に特化した初歩的なノウハウ本が溢れていたりします。10年前と比べて何が変わったでしょうか。

残念ながら、日本の成人の英語力は右肩下がりで、EF EPI 2017年調査 によれば、5段階評価のうち下から2番目である「Low Proficiency(低いレベル)」にまで落ち込んでいます。もはや、グローバルな先進国として、コミュニケーションがとれる国とは言い難い、深刻な状況ではないかと思います。

私は2020年に東京オリンピックを控えた今、もう一度、みなさんに問いかけたいのです。「なんで英語やるの?」と。

なぜ英語をやるのか?

「なんで英語をやるのか?」「社員の英語力アップがなぜ必要なのか?」「なぜ、TOEICスコアにこだわるのか?」今さら、当たり前のように思えるかもしれませんが、あえて、なぜ?という問いかけからスタートすることは無駄ではないと思っています。

もし、その答えが「とりあえず英語力のアップから取り組んでみよう」という姿勢であったり、「社員の英語力を測る方法として、TOEICが一般的だから」という意見であれば、それは危険です。なぜなら、英語力=グローバル人材のコア要件ではないからです。

多くのビジネス・パーソンが、英語を話すことを学習ととらえているようですが、海外のビジネス・パーソンはあなたの英語力が高くても、あなたに信頼感を抱くわけではありません。相手はあなたが何をできるのか、そして、どのような人なのかに関心があるのです。極端な話ですが、日本語を自分で直訳した、文法的には正しくない英語の方が、英会話の授業で覚えたあたりさわりのないフレーズよりも心を打つことがあります。要は、相手に響くコミュニケーションができてこそ、信頼構築の第一歩が始まるのです。

もはや、グローバル人材のコア要件は、英語力で定義できるものではありません。英語力で定義できないとすれば「グローバル人材」を、どのように捉えたらよいのでしょうか。

誰もがグローバル・コミュニケーターになれる!

それでは、グローバル・コミュニケーターに求められる6つのコア・スキルを紹介します。この6つのスキルは、南アフリカ、インド、北米、ヨーロッパ各地で海外生活を経験してきた私の人生と、グローバル人材の育成の現場に携わってきた30年のキャリアから、浮き彫りになったリアルなスキルです。

Being Confident(なんとかなるという自信)
Non-Verbal Communication(言葉に頼らないコミュニケーション力
Open Communication(相手を受け入れるオープンな心)
Superior Listening(すば抜けた傾聴力)
Assertive Rights & Communication(自己を表現しようとする強い意志)
Self-Awareness (相手の気持ちに敏感であること)

私は「グローバル人材」は、決して「選ばれた人々」であったり、「特別な存在」ではないということを強調したいと思います。この6つのスキルを活かして、日々奮闘している一人ひとりの存在そのものが、グローバル・コミュニケーターです。

英語ネイティブ同士のコミュニケーションよりも、非ネイティブを含むコミュニケーション人口が圧倒的に多い今日、むしろ非ネイティブこそ、自信を持ってコミュニケーションできる時代が始まっています。

グッと敷居を低くして肩の力を抜いて、私たち誰もが皆、グローバル・コミュニケーターになれるポテンシャルがあるということに、今こそ気付いてもらいたいと願っています。

揚石 洋子 Yoko AGEISHI
株式会社セブンシーズ 取締役会長&COO
学校法人立教女学院理事・評議員会議長

立教大学文学部英米文学科卒。中学生時代をインドで過ごす。アパルトヘイト政策下の南アフリカ共和国において初の名誉白人学生として国立Witwatersrand大学に入学し、演劇学と言語学を専攻。帰国後、日本航空に入社し、東京支店カウンターセールス部にて顧客対応スペシャリストとして勤務。その後、ドイツ、アメリカでの海外生活を経て、株式会社モデル・ランゲージ・スタジオにて企業研修事業部長を務める。ハリウッドで活躍する日本人俳優向けのトレーニング技法を、ビジネス・パーソン向けの研修の現場に応用し、その実績が、クライアント企業から高く評価される。

2003年、株式会社セブンシーズを創業。「誰もが真のグローバル・コミュニケーターに!」をコーポレート・ミッションとして掲げ、日本に根ざして活躍する優秀でモチベーションの高い各国のコンサルタントと協業し、語学だけに頼らないコミュニケーション力を養成する研修を開発。多数の外資系企業および日本企業に対して、各社の人材開発ニーズに即した研修プログラムと、コンサルティングを提供している。

グローバル・コミュニケーション教育の専門家として、30年のキャリアを有し、これまでに10,000人以上のグローバル人材の育成に貢献。グローバル人材に求められる6つのスキルをわかりやすくトレーニング形式でまとめた著書 語学力ゼロから『「世界で成功する!」人になる[グローバル・コミュニケーター入門] 』は、数多くの企業にて研修教材としても導入されている。

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