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曽和利光氏が登壇|2021年度 新入社員育成フォーラム DAY2

毎年好評の「新入社員研修振り返りセミナー」。第2回目は、 組織人事コンサルタントを務める株式会社人材研究所代表 曽和利光氏をゲストに迎え、コロナ渦によって職場から失われつつある「インフォーマルネットワーク」をメインテーマに基調講演を行いました 。採用や内定者教育、入社後の人材育成に至る一連のプロセスにおいて、新入社員のエンゲージメントや同期の関係構築について考える場となりました。

2021年6月17日(木)、第2回新入社員育成フォーラムを開催しました。第一部では、株式会社人材研究所代表 曽和利光氏をお招きし、「新入社員の意識変化と組織が失った“インフォーマルネットワーク”とは」というテーマにて基調講演を行いました。第二部では、他社との意見交換を通じて、各社の新入社員研修の振り返りと課題について共有する時間を設けました。

本レポートでは、前半に曽和氏による基調講演のポイントを抜粋してご紹介します。後半では、新入社員研修振り返りセミナーの様子と、参加された人事ご担当者の声を紹介します。


| 第一部:基調講演「新入社員の意識変化と組織が失った“インフォーマルネットワーク”とは」

新型コロナウイルスがもたらしたニューノーマルな生活様式は、私たちの職場環境にも大きな変化をもたらしました 。組織人事コンサルタントとして長年多くの企業を見てきた曽和氏は、従来の日本企業を支えてきた非公式な関係性である”インフォーマルネットワーク”が失われつつあることに警鐘を鳴らします。このインフォーマルネットワークの喪失について、問題提起と提言がなされました。

 

テレワークの影響で発生している人間関係(信頼関係)維持に対する危機感

テレワークで働いている7割以上の人が、何かしらの不安を抱いているという調査結果(※)があります。上位2つは、仕事の質や生産性に関する不安ですが、3位からは自分が信頼されていないのではないかという人間関係(信頼関係)に対する不安が続きます。具体的には「さぼっていると周りに思われている」「重要な情報を知ることができていない」などの不安です。これらの不安は誰かに直接言われたからではなく、「そんな気がする」という感覚的なものによって引き起こされていると考えられます。曽和氏はそのような不安の原因に、インフォーマルネットワークの喪失があるのではないかと指摘します。
(※)新入社員以外も含む、テレワークで働く方を対象とした調査

 

“インフォーマルネットワーク”補完の遅れによる組織課題の表出

会社には、2つの組織が存在していると言えます。1つは会社の組織図などで規定された“フォーマル組織”です。もう1つは、自然発生的に広がる “インフォーマルネットワーク”という非公式な組織(人間関係)です。この2つの組織は互いに補完しあう関係にあるため、どちらも重要です。(下図)

本来であれば、インフォーマルネットワークはメンタルケアやキャリアサポートなど、フォーマル組織の機能を補完する役割を果たします。しかしオンライン化が進みインフォーマルネットワークが構築されにくくなったにも関わらず、対策を打てていない企業が多いのではないかと曽和氏の問題提起がありました。その結果、「コロナ離職」や「コロナうつ」などの諸症状が現れ始めているのではないか、というのが曽和氏の見解です。更に、この問題は組織開発だけでは解決が困難だと指摘します。

図.インフォーマルネットワークが担ってきた組織上の効能

 

採用プロセスにおいて「相互理解」の場をデザインすることの重要性

そこで重要となるのが、採用プロセスです。近年普及しているオンライン面接は、言語情報に集中することができ、情報の「伝達力」は高いと言われています。反対に、情報の「伝達感(≒わかりあえた感)」は低くなります。そのため、企業と学生は相互に「この相手で大丈夫だろうか」と不安を抱え、確信が持てないまま意思決定を迫られます。入社後もリモートワークが続くと、インフォーマルネットワークは中々構築されず、フォーマルな関係性のやりとりのみが続いていきます。このような過程は、入社後のリアリティ・ショックを拡大する一因にもなり、早期離職につながる可能性があると曽和氏は指摘します。

その為、今後の採用においては候補者の能力についての評価や、会社に関する情報提供だけでなく、「相互理解を通じた信頼関係の醸成」がより重要度を増すという見解が示されました。新入社員のオンボーディングや育成は、もはや入社後から始まるものではないと言えそうです。

 

オンライン面接で信頼関係を構築するための方策

オンライン面接で信頼関係を構築するための3つの方策が曽和氏から提案されました。

 

  1.  構造化面接を導入する
  2. 非言語情報を積極的に使う(うなずき、カメラ目線など)
  3.  既存社員の入社動機は、「What(=何が好きか)」だけでなく「Why(=なぜ好きか)」を語る

 

オンライン面接においては、形式的に質問を投げかけ会話のストロークが長い構造化面接の方が、キャッチボール型の面接よりも受け手が答えやすいというメリットがあるそうです。その他の2つも相互理解を深める上では非常に重要なポイントだとお話されました。

 

内定者のうちから始めるべき「社員とのリレーションシップ構築」

「相互理解を通じた信頼関係の醸成」が重要となった今、内定者教育の目的も変化しています。これまでの内定者教育の主な目的だったRealistic job preview(=現実的な仕事情報の事前開示)は、内定者と企業の相互理解が前提となっています。相互理解が不十分なままにRJPを実施すると、内定辞退につながるリスクがあるのです。そのため、内定者教育において優先すべきは、既存社員や同期のリレーションシップを構築することだと曽和氏は提言されました。

 

入社後の有効的なネットワークの作り方

最後に、失われつつあるインフォーマルネットワークを補完する、入社後の具体的な方法論が提示されました。それは相性を用いたグルーピングと配置です。

ある研究では、無作為に集めた集団に比べ、相性を考慮して組成した集団では組織の総生産性が2倍になるという結果が出ています。曽和氏は、新入社員研修でも相性の良い組み合わせのグルーピングを行うことで、入社後のオンボーディングの難しさを軽減することができると言います。

具体的には、凝集性の高い小チームをたくさん作り、それぞれのチームのハブ人材同士を繋げることで、小チーム同士をネットワーク化していく方法が紹介されました。この考え方を用いることで、大きなセーフティネットを構築することができるとのことでした。

これからは組織の生産性を高めることはもちろん、失われた“インフォーマルネットワーク”を補完するためにも、能力や志向だけではなく「性格」にも注目し、人員の配置を検討する必要があります。それにより、配属後のオンボーディングのハードルを下げておくことに寄与できるのではないかと提言されました。

 

第一部 参加者のアンケート結果の共有

  • 採用(内定者)時からのケアが重要であるというお話が勉強になった。採用と研修の担当者は業務が分断されやすいため、この繋がりを強くする方法を考えたい
  • 新入社員教育でチームビルディングが重要になることを理解できた
  • インフォーマルネットワークの大切さを理解した。グループの組み合わせから考え直したい

 

基調講演概要

日 程 :2021年6月17日(木)
参加者数:117名(採用規模100名前後の企業を中心に全101社)

参加業種:自動車、電機、システムインテグレーター、通信、ガス、化学、銀行、保険、リース、人材、食品、飲料、不動産、建設、総合商社、自治体 他

 

スピーカー 株式会社人材研究所代表 曽和利光氏

リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や情報経営イノベーション専門職大学客員教授も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立。

| 第二部:新入社員研修の振り返り

第二部では、各企業の担当者様同士で今年度の新入社員研修の取り組みや今後の新入社員研修に向けての課題を共有する「新入社員振り返りセミナー」を実施しました。オンライン研修の実施など、新しい取り組みを模索しながら導入した企業様も多かった今年度。取り組み事例や課題感を気軽に共有・情報交換できたこと、業界や規模が近い他社の取り組みを知る貴重な機会だったと、大変ご好評をいただきました。

▽セミナーの様子▽

 

第二部 参加者のアンケート結果

  • 新しい情報を他社からいただけただけでなく、自社の取り組みで「このままで良さそうだ」「他社も同様の悩みを抱えているようだ」「これは自社独自だ」と理解できたことが有意義だった
  • 自身や社内では出なかったアイディアや視点での施策を知り、今後大いに参考となるお話が聞けた
  • 他社事例から、内定期間の施策や研修期間の自主性を促す研修実施について情報収集できたことが有益だった

<セミナー後記 ウィル・シードセミナー事務局>
入社前から配属後に至るまで、オンライン前提の新入社員は、職場における“インフォーマルネットワーク”に触れた経験がありません。“インフォーマルネットワーク”が果たしてきた役割が補完されない状況が続けば、業務内外問わず問題が発生するリスクがあります。新入社員のエンゲージメントを守るためだけでなく、組織の健全性を将来に渡って維持するためにも、意識的に“インフォーマルネットワーク”の喪失に向き合う必要があるのではないでしょうか。ウィル・シードとしても、人材育成をはじめ様々な観点から、皆様と一緒にこの問題に向き合っていきたいと考えております。

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