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自律的キャリア×エンゲージメント向上

異業種キャリアSHIFTは、従来のキャリア研修に新たな風をもたらす試みです。 当社企画部長岸本渉へのQ&Aコラム形式で”SHIFT”が生まれた背景や、人事担当者と参加者の視点からの違い、異業種間での越境効果など、さまざまな要素を紐解いていきます。 特に、「一人ひとりの意志を大切にし、多様なキャリアを支援すること」と「会社としてキャリア自律を促す意義」の両立に迷われている方の選択肢や希望になれば幸いです。

<異業種キャリア”SHIFT”とは>

SHIFTは当社異業種キャリア研修のサービスブランド名称です。

「自分が所属する会社をフィールドのひとつとして捉え、今、関心があることを起点にして試行錯誤と学びを繰り返しながら自分のキャリアの可能性を切り拓く」と言う概念(セルフ・プロデュース)を軸としながら、自分自身のキャリア観をSHIFTしてほしい、そんな願いを込めています。


Q:異業種キャリアSHIFTを企画した背景には、どのような問題意識や好奇心があったのですか?

個人的見解ですが「個人のビジョンやありたい姿を持つこと」がビジネスパーソンとして重要視される風潮があり、それらを持てない人に対しては社会的なプレッシャーがかかっているように感じていました。

当社は一人ひとりの意志を信じ、尊重する会社です。

だからこそ、今明確なビジョン等を持っていなくても「行動を通じて意志が育まれる」ことを実感できる環境が求められていると考えました。ただ同質性が高い空間・集団ではそういった発想も行動も生まれにくいのでは、という仮説があり、”自律的キャリア”にテーマを定め、異業種キャリアSHIFTの企画を立ち上げました。

Q:SHIFTが従来のキャリア研修と何が違うのでしょうか?人事の視点から教えてください。

SHIFTと従来のキャリア研修の違いは主に以下の2点です。

①SHIFTの目的は「会社や仕事を通じ、社員が自分らしい価値発揮をすること」

どんなにキャリア自律を謳っても、企業が投資する限り、目的は「会社への価値貢献」や「利益創出」です。一方で、会社を離れた個人を対象にしたキャリア研修は「自分の価値観を大切にしよう」と主張でき、それが差別化にもなっています。

SHIFTは企業からお金を頂くモデルですが「会社を通じた価値貢献」「仕事を通じて社会に良い影響を与えること」を目的としています。

「会社への価値貢献」と「会社を通じた価値貢献」は似て非なるものです。抽象的かもしれませんが、個人も会社も諦めない。

SHIFTでは、従来のキャリア研修のMUST・WILL・CANの枠組みにとらわれず、会社の社会的価値を多角的に分析し、自分がどんな価値を発揮したいかを問うていきます。

②SHIFTは従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントの双方を高める

SHIFTは従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントの両方に効果があると実感しています。

異業種の環境に身を置くことで、自社や自分を客観視しやすくなり、自社の価値や自分のキャリアについて深く考えることができるからです。

従業員エンゲージメントの高まり

具体的には、自社の価値を他社メンバーと対話することで相対化し、内省が促されます。

例えば、あるメーカーの方々は「自社は地域と深くつながり雇用を創出しながら地域からも価値の還元を受けている」ことが自社対話・他社共有を通じて見直されていました。これにより、自社への信頼感が増し、同時に健全な危機感も醸成されていました。

ワークエンゲージメントの高まり

(これまでやっていなかったが)自分の関心がある領域にチームでアクションすることで、現在の職務・職場に限らない自分の新たな可能性に気づき、ワークエンゲージメントが高まっている様子が見て取れました。

例としてチームアクションを経た内省で「私は人繋ぎクリエイターだ」と表現している人がいました。仕事の種類に限らず「自分が何の作業をしている人か(Task)」でなく「自分はどんな価値提供をしたい人か(Job)」に焦点が当たっており、これこそワークエンゲージメントが高まっている状態だと実感しました。

多様な価値観を取り入れる時代だからこそ、自社価値や仕事の捉え直しが、エンゲージメント向上の鍵です。異業種SHIFTが、効果的かつ実践的機会を提供出来ていることを実感しています。

Q: どのようにSHIFTが従来のキャリア研修と異なるのか、受け手側(参加者)の視点から教えてください。

特徴的なのは以下3点です。参加者の声ともにご紹介します。

①自社のキャリア観に囚われず、外部の視点も取り入れることができる。

参加者の声:
「自社の中でどうキャリアを積んでいくか」という観点しか持っておらず、自社研修でもそれしか教わらなかったため、将来に面白みは無く漠然とした不安がありました。キャリアを全体的に俯瞰して考えることができるようになり、キャリアの考え方が拡がりました」

②他社からのフィードバックで自分の強みに気づくことができる。

参加者の声:
「異業種の参加者と会社で行っている業務とは違うことについてチャレンジを行いましたが、自分ではそれほどすごいことだと思っていないことが、他者の視点からだと大きく違って見えることに気づけました。自分では気づかなかった強みや新たな視点を得ることができました」

③キャリアの悩みに共感し合い、自分なりのキャリア観を言語化できる。

参加者の声:
「SHIFT研修には、入社間もない方から中堅社員まで幅広い参加者がいましたが、多くの人が自信を持てずに悩んでいることが共通していました。研修を通じて、他社の同志を得ることができ、自分のキャリアに対する考え方を言語化することができました。」

参加者たちの声からSHIFTの臨場感が伝われば嬉しいです。

Q:SHIFTは異業種でなければ成立しないのでしょうか?

必ずしもそうではありません。異業種間では越境効果を感じやすいですが、単一企業内でも越境は可能です。(ここでは、越境=心理的なホームとアウェイを行ったり来たりすること、と定義します)

多くの大企業では自社のリソースの広さ・深さに気づいておらず、そのために自社の社会的価値に気づかないことも多いようです。自社の社会的価値を俯瞰するプロセスを越境として組み込むことで対応可能かと。具体的には「自社の可能性を拡げること」を目的に、まずは部署別にグループ分けして価値検討を行い、その後部署の枠を超えて企業の提供価値に対する対話を行えば、単一企業内でも自社価値に対する内省が深まります。さらに、チームで協働する越境体験を組み込むことで、自分の好奇心や強みを客観視し、仕事の捉え方を変えることもできるでしょう。

Q:SHIFTを通してあなた自身が学んだことは何ですか?

「キャリア観は自由だ」ということ。月並みな答えですが「キャリアに絶対的な正解は存在しない」ということです。

参加者の皆さんが、それぞれのキャリア観を自分の行動や言葉を通して表現していたのは、心に響くものがありました。SHIFTは「キャリアはこう築いていくべきものだ」という囚われを解放し、キャリア観の多様性を促進する役割を果たせたのかな、と。

それが一人ひとりの意志を尊重する私たちらしさでもある、と改めて感じている次第です。

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岸本渉(きしもとしょう)

株式会社ウィル・シードHRD事業部企画部長。博報堂、ファーストリテイリングを経て、ウィル・シードに入社。コンサルタント・営業責任者を経て「越境で共創する、意志ある未来づくり」を志向する新プロジェクトX-Border Fantasyを立ち上げる。越境学習に可能性を見出し、様々な大企業リーダー変革の越境プロジェクトを企画・推進する傍ら、ファシリテーターとしても、組織で働き成果を出すこと、人が自分らしく自分の「本物」と繋がること、この両方を諦めない場づくりを追求している。

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