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- 2026.10.16
- レポート
「業界別アリテイ」の場づくりに迫る -人が集まるだけでは、学び合いは生まれない-
2026年、ウィル・シードは5業界・計6回の「業界別アリテイ」を開催しました。前回の記事では、その歩みと開催実績をご紹介しました。今回は、対話を支える場づくりの工夫をご紹介します。
「場を進める」のではなく、「学びが生まれる状態」をつくる
「100の言葉より、ひとつの体験を。」これは、ウィル・シードが大切にしているスローガンです。人は、誰かから答えを受け取るだけでなく、自分の経験や違和感を言葉にし、他者の視点に触れることで、新たな気づきや意味を見いだしていきます。
私たちは研修の場で実践してきた「Learning Facilitation」の考え方を、アリテイにも取り入れています。大切なのは、予定通りの進行や盛り上がりそのものではありません。一人ひとりの経験や想いが引き出され、対話を通じて学びが生まれ、それぞれの次の一歩につながる状態をつくることです。
各回を設計・ファシリテートしたウィル・シードの社員に「場づくり」のこだわりや当日の様子について聞いてみました。
こだわり① 話し始められる「入口」をつくる
初対面の人同士に「自由に話してください」と伝えるだけでは、率直な対話は始まりにくいものです。そこで私たちは、最初に何を話し、どのように相手の言葉を受け取るかを大切にしています。
例えば、ある回では「自社のおすすめ商品」を持ち寄るチェックインを取り入れました。身近な商品をきっかけに会話を始めることで、所属や肩書きだけでは見えない、その人の関心や想いに触れる入口をつくります。
また、別の回では「今日、他社に聞いてみたいこと」「自社で困っていること」を共有したり、付箋に書き出したりしました。
話せる土壌を整え、その後の対話を自分ごとにする工夫です。
こだわり② 一人ひとりの「問い」に向き合う
同じ業界でも、参加者の担当領域や関心、困りごとは少しずつ異なります。だからこそ、同じテーマを一律に与えるのではなく、一人ひとりが自分なりの発見を持ち帰れる機会を設計しています。
例えば、参加者の担当領域や関心を踏まえたグループ編成を行うほか、「知恵袋セッション」という取り組みも実施しました。
知恵袋セッションでは、参加者に事前に自身の困りごとを考えていただき、当日はシートに書き出してもらいました。グループ全員が順番に相談者となり、まず他の参加者が質問を重ねて背景を理解する。そのうえで、自社の実践やアイデアを持ち寄り、解決への糸口を探りました。
すぐに答えを出すのではなく、問いを通じて悩みの輪郭を明らかにする。
何に向き合うべきかを確かめる、大切なプロセスです。
こだわり③ 対話を広げ、参加者に委ねる
学びの機会を、最初に組んだグループだけで閉じないことも意識しています。例えば、シートを会場に張り出し、他のグループの議論に触れる時間を設けました。また、席替えや自由交流、グループでの議論を全体に共有する時間なども取り入れています。
さらに、参加者の関心に合わせてフリートークの時間を長く取るなど、当日の対話の流れに応じて進行を調整することもありました。
そこには共通した姿勢があります。対話が生まれる条件は意図して設計する。一方で、何を語り、何に気づくかは、参加者自身に委ねる。
設計と、場に応じた柔軟な関わりの両方を大切にしています。
同じ業界だからこそ、共感できることがある。しかし、同じ業界でも、答えは一つではない。
参加者からは、似た悩みを抱える企業があることへの安心感に加え、他社との違いから自社の強みや試してみたいことが見つかったという声も寄せられました。また、難しいと感じていた取り組みにも挑戦してみようという意欲が生まれたことを示す声もありました。
共通する背景があるからこそ、互いの悩みに共感できる。一方で、企業ごとに異なる経験や考え方に触れることで、自社の当たり前を問い直し、次の一歩を考えるきっかけにもなる。こうした共感と違いの両方が、新たな学びを生み出すのではないでしょうか。
もちろん、すべてがうまくいっているわけではありません。
「違う問いを用意すればよかった」「考えの背景をもっと話したくなる空気をつくりたかった」。開催のたびに、新たな反省が生まれます。
場づくりに、100点の正解はないのかもしれません。それでも、100点を目指し続ける。
そのために、一つひとつの問いや関わり方にこだわり、次の場へとつなげていきます。
ウィル・シードにとって「場づくり」は、単に人が集まる機会を用意することでも、対話を円滑に進めることでもありません。 一人ひとりの経験や想いを引き出し、他者との相互作用を通じて、新たな気づきや次の一歩が生まれる状態をデザインすることです。
研修でも、人事交流会でも。私たちはこれからも、人と場の可能性を信じ、学びが生まれる場をつくり続けていきます。