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Learning Facilitation Journey ー学びが生まれる場のデザインー

このたびウィル・シードでは、これまで研修やワークショップの現場で培ってきた「場づくり」の実践知を整理し、冊子『Learning Facilitation Journey ー学びが生まれる場のデザインー』にまとめました。

「今日の研修、少し緊張感がなかったですね」「参加者が受け身でしたね」「議論があまり深まらない場でした」。研修を企画・運営する中で、こんな言葉を口にしたことはないでしょうか。
もちろん、どれも研修の質を考えるうえで大切な気づきです。しかし、「学びが生まれる場づくり」を考えるとき、私たちはもう少し違った視点から、その場を捉えようとしています。
例えば、参加者の発言が少ないとき。
「自分の考えを深めているのか。それとも、何を考えればよいか迷っているのか」「問いが難しいのか。安心して話せる関係性ができていないのか」
同じように見える場でも、その背景によって、必要な関わり方は変わります。あえて待つこともあれば、問いを変えたり、対話の進め方を工夫したりすることもあります。

目に見える場の雰囲気だけでなく、その場で何が起きているのかを見立て、場の可能性を信じて、次の関わりを選ぶ。

今回の冊子には、そんな「場づくり」の奥深さと、現場で培ってきた私たちの考え方を込めています。

1.研修の質は、コンテンツだけで決まらない

ウィル・シードが大切にするスローガンは、「100の言葉より、ひとつの体験を。」です。知識を伝えるだけでなく、参加者が自ら経験し、気づき、次の行動につなげることを大切にしてきました。
その実践を考えるうえで、私たちは場の質を「コンテンツ×場づくり」で捉えています。何を学ぶかはもちろん重要です。しかし、どのような問いが置かれ、誰の経験が語られ、互いの言葉がどう交わされるかによって、学びの深まり方は変わります。
講師が説明を尽くし、予定通りに進行できたとしても、それだけで学びが生まれたとは限りません。参加者が自分自身の経験と結びつけて考え、これまでの認識や判断を捉え直す。そうした変化が生まれるかどうかも、研修の質を左右する大切な要素だと考えています。

2.いま、人が集まる意味を問い直す

AIによって、情報や答えのたたき台を得ることは容易になりました。一方、正解の定まらない課題では、知識を受け取るだけでは前に進めません。
自分はなぜそう考えるのか。異なる立場から見たらどう映るのか。一人ひとりの経験や違和感が持ち寄られ、対話を通じて結び直されることで、その場だからこそ生まれる意味や判断の手がかりがあります。
時には、異なる意見に触れることで、自分が当たり前だと思っていた前提が揺らぐこともあるでしょう。こうした予期せぬ気づきや、新たな意味が生まれることこそ、人が集まる場の価値ではないでしょうか。
私たちは、あらかじめ用意された答えを確認するだけでなく、参加者同士の相互作用から新たな学びが生まれることに、人が集い、ともに学ぶ価値があると考えています。

3.学びが生まれる場を、どう支えるか

こうした学びが生まれる状態を支える営みを、私たちは「Learning Facilitation」と呼んでいます。単に進行を円滑にする技術ではありません。参加者の経験を引き出し、問いによって視点を動かし、対話から生まれた気づきを次の一歩につなぐための実践です。
一方、実際の場づくりは決して簡単ではありません。
例えば、参加者から発言が出ないとき。問いを変えるべきなのか、考える時間として待つべきなのか。あるいは、想定外の意見や反応が出たとき。それをどう受け止め、場全体の学びへとつなげるのか。
そこには、マニュアル通りの進行だけでは対応できない、場を見立て、判断し、関わり方を選び直す力が求められます。
これまで、こうした場づくりは、講師一人ひとりの経験や現場での判断に支えられてきました。その実践知を言語化し、互いに共有しながら磨いていくために制作したのが、今回の冊子です。
冊子では、「ある」「みる」「つくる」「うごかす」「ひらく」の5領域、8つの観点から場づくりを整理しました。
例えば、「場を見立てる」という観点。参加者が静かだからといって、学びが止まっているとは限りません。考えが深まっているのか、戸惑っているのか。目の前で起きていることをどう捉え、どう関わるか。そんな日々の判断を見つめ直す手がかりを収めています。

4.なぜ、「Journey」なのか

今回作った冊子は、正解の手順を覚えるためのマニュアルではありません。自分の在り方や関わり方を振り返り、次の場で試したい一歩を見つけるための「地図」として作成しました。
8つの観点から自分の現在地を捉えるJourney Mapや、実践と振り返りを重ねるためのJourney Logも用意しています。
大切なのは、できている・できていないを評価することではなく、自分が何を大切にして場に立ち、どのような関わり方を選んでいるのかを見つめ直すことです。場づくりに携わる人それぞれが、自分なりのこだわりや実践知を育てていく。その過程自体を、一つのJourneyとして捉えています。
2026年9月には、この考え方をもとにワークショップも実施しました。参加者同士で実践知を共有し、それぞれの場づくりを見つめ直す機会となりました。
そして、今回制作した冊子は、あえて「Version 0」としています。
それは、この冊子自体も完成された正解ではないからです。現場での実践や、異なる経験を持つ人たちとの対話を通じて、新たな視点や知恵を取り込みながら、これからも磨き続けていきたいと考えています。

5.場に立つたび、学びの旅は更新されていく

場づくりに唯一の正解はありません。だからこそ、私たち自身も学び続けます。
これはLearning Facilitation Journeyを通じて、私たちが大切にしたい姿勢でもあります。

「何を教えるか」だけでなく、「どのような学びが生まれる場をつくるか」。自社の研修をその視点から見つめ直すと、どのような可能性が見えてくるでしょうか。

ウィル・シードはこれからも、これまで培ってきた実践知を大切にしながら、新たな経験や考え方に触れ、学びが生まれる場の可能性を探究していきたいと考えています。
そして、このJourneyを、人材育成に携わる皆様とともに、育て続けていきたいと思います。

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