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- 2018.11.12
- グローバル
海外トレーニー制度−派遣期間中モニタリング③
海外トレーニー派遣をサポートし、のべ1,500回以上の面談を重ねる中でわかった 「海外トレーニー制度成功の秘訣」をご紹介します。
派遣期間中モニタリング②で紹介した適応段階に照らし合わせると、到達するタイミングに差はありますが、多くの派遣者は「組織の一員として業務を進める」段階に到達できます。しかし次の「現地スタッフを巻き込んで成果を出す」段階に到達する前に、2つの壁が存在します。
- 現地スタッフを巻き込めるような業務につけない
- 現地スタッフを巻き込むべくリーダーシップを発揮できない
そもそも業務がなければ、リーダーシップの発揮どころではありません。では、派遣者が業務を獲得できるように、人事の立場でできることとは何でしょうか。
現地スタッフを巻き込む業務を見つける
ひとつの方法は、人事から派遣先への相談です。 派遣期間中モニタリング① でお伝えしたチャレンジングな環境に派遣者を配置することはできないか、という調整も1つの選択肢です。しかし、派遣先で都合よくそのような環境や業務を用意できるとは限りません。そこで、次の方法は「派遣者に自分で仕事を探させる/創らせる」ことです。
上司からアサインされるばかりが仕事ではありません。自分から提案してみることをアドバイスしましょう。人事から派遣者に次のように問いかけて、現地で提案できることがないか考えてもらうと有効です。
- 派遣先で現地スタッフが困っていること(課題)は何か?
- 派遣先の戦略や目標に照らし合わせて、取り組むとプラスになることは何か?
- 自分が日本で取り組んできたことで、派遣先のメンバーにとって参考になりそうなことは何か?
現地スタッフが困っていることであればスタッフを巻き込みやすく、戦略や目標に沿った内容であれば、上司を説得しやすくなります。また、自分の知識・経験をもとに提案を考えてみることでより具体的な提案をできるでしょう。
リーダーシップ発揮に向けて
「現地スタッフを巻き込めそうな業務が見つかったのに、リーダーシップがなかなか発揮できない」ことは、トレーニーにとって健全な悩みと言えます。
人事からは、「諦めずに頑張れ!」とエールを送ってあげましょう。リーダーシップを発揮しようとして、なかなか上手くいかないこともトレーニーにとっては学びの種となります。経験の成功・失敗要因について分析をしてもらうことが大切です。
私たちがメンタリングの際にしばしば使用する問いかけを紹介します。必要に応じて活用してみてください。
- どのようなステイクホルダーに対して、どういったアクションを起こしたか?
- あなたが起こしたアクションは、どのように結果に寄与したのか?
- あなたのアクションでは、なぜ、現地スタッフが動いてくれなかったのか?
- 現地スタッフは、何をしたかったのか?
- 現地スタッフは、何をしたくなかったのか?
- 現地スタッフのことをどれくらい知っているか?
- 次にもっと効率的に・効果的に行うためにどうしたらいいか?
- 次に失敗しないためにはどのような工夫が必要か?
- 今回の経験から得たノウハウは、他の国でも活用できそうか?
- 他の国で転用するとしたら、どのような変更が必要そうか?
次の海外赴任も見据えて、トレーニー派遣国に限らないノウハウの蓄積を推奨していくことが、派遣者本人にとっても、会社にとっても重要です。