『よい朝のために。』
ブランドを支える人材育成CASE14

株式会社共立メンテナンスKyoritsu Maintenance Co.,Ltd.

共立メンテナンス

急速に拡大している事業と、
急増していく人材

―ビジネスホテルドーミーインのイメージが強いのですが、あらためて事業を取り巻く環境を教えてください。

私たちは現在、学生寮・社員寮が全国約600棟、ビジネスホテル・リゾートホテルが全国約110棟あり、特にホテル事業は年間10棟ペースで成長しています。

学生寮事業は専門学校生を主なお客様としてスタートし、次第に大学生の割合が増えながら成長しています。基本的には入学手続き書類と一緒に住まいの申込書類を入れるので、社名はなかなか外には出ません。そこの学校の寮だと思って手続きして、何かのタイミングに管理運営が共立メンテナンスだと気づいていただく感じなのだと思います。

最近は大学の敷地内に寮を建てる依頼や、留学生と共に住める国際交流寮を建てる依頼も増えています。少子化の時代とはいえ私たちが関わる学生は自宅外で生活する学生の数パーセントなので、まだまだこれからも成長の余地が大きくあります。

ワークショップ風景
株式会社共立メンテナンス 取締役 人事総務本部長
石井 正浩 氏

企業向けの寮については、企業が社員寮を手放し、社員も自分たちで部屋を借りることを好む時代もありましたが、ここ数年は、むしろ寮の良さが見直されています。同期でも配属されたらバラバラ、先輩後輩の関係性も希薄になる中で、縦横の人脈作りの場として寮への期待が増しているようです。

ドーミーインのビジネスホテル事業は、「出張先にも普段住んでいるような所があったらいいね」から始まりました。住まいの延長として居心地の良さ、使い勝手の良さなどにこだわって進化させています。こだわりを持って提供している朝食も好評をいただいています。また最近では、海外の方も意識した和風ビジネスホテルや、カプセルホテル+αをコンセプトにしたグローバルキャビンも事業化し急拡大しています。

リゾートホテル事業は、企業の保養所からはじまり、個人を対象としたホテルへと変化してきました。それぞれの地域特性を踏まえたコンセプトを揚げてサービスを提供し、「共立リゾート」として、上質でも肩の凝らないおもてなし「癒しの湯宿」、眺望を活かした「LA VISTA」合わせて30棟を数えるまでになりました。今後も毎年2~3棟のペースで増やしたい考えです。

-創業以来の事業を発展させつつ、次々と新しい事業にもチャレンジされている。

確かに最近のビジネスホテル事業の成長は著しいですが、どの事業もお客様のニーズに一所懸命応えていることで新しいサービスをつくり、拡大している状況です。

そして今はまさに、この事業拡大を支える「人材」が課題です。人の採用と教育、特に現場の中心となるミドルマネジメント層をいかに育てるのかが重要。採用による強化もしますが、当社のよさをしっかりと理解した人材に現場を任せたいという思いがあります。

KYORITSUらしい人材を育てる

-ホテルのサービスやスタッフの高い評判を耳にします。何か秘訣があるのでしょうか。

あえて言うと、元々の寮事業で培ってきた考え方かもしれません。寮長・寮母は住み込みで寮生とともに暮らします。そして日々何とかしてあげたいと考え、画一的ではないやり方でサービスを提供する、という考えが育まれてきました。

この考えをわかっている社員が、ドーミーインや共立リゾートの事業の形をつくり、今に繋がっているのです。今は、この考えを伝えられる社員が現場にいるというのが強みでしょう。

本部も同じで、規模が小さかった頃は創業者が全てを見渡せましたが、今はそれなりに大きくなり、創業以来の想いが伝わりづらくなってきているように感じます。まず、本部がしっかりしないと現場にも伝えていけないという危機感もあります。

事業も組織も拡大する中で、何もせずに“らしさ”を維持できるかというと難しい。仕組みにして強化・発展をさせなければいけないという考えが今の取り組みに繋がっています。

インタビュー風景

現場のOJT強化はマネジメント層が鍵

―具体的には、どのような取り組みをされているのでしょうか。

時代の変化、人の価値観の変化、事業・組織の変化に合わせて、まずは人事制度を変えました。キャリアパスはわかりやすくしないといけない。入社してからどこを目指すか、次にどうしたらいいのかをわかりやすくし、グレードも整備しました。その上で、評価する側をしっかりとトレーニングし、皆が同じ目線で評価するようにしました。

また、現場でOJTをやるにしても、これまで会社として特別なサポートをしてなかったので、上司側が教えること自体の意識もないし、どう教えればよいのかもわかりません。そこで、かつては現場に任せきりだったものを、マネジメント層に研修をすることでしっかり整え、OJT全体のレベルを引き上げようとしています。

24時間365日稼働する現場から研修に参加させる

―今年度のマネジメント研修は1年の間に、1.5日研修×4回実施されています。24時間365日稼働する現場から参加を募るのは大変だったのではないでしょうか。

確かにかつては「仕事を優先しています」という考えがまかり通っていて、強い反発はなくても、出席しないという“ひそかな反発”がありました。しかし中には、上司の目や周り同僚の目があって、研修に出たいが出づらいという層もありました。

そこで、人事制度の評価項目にも入れて、仕事優先だけではなくちゃんと次を育てなければいけないとメッセージし、各本部長への依頼や各現場との調整にも力を注ぎ地道に研修への理解を求めてきました。

上司自身が研修を受けたので、その部下にも研修を受けさせるようにスケジュール調整してくれるようになり、前向きに参加してもらえる環境が整いつつあります。

―一連の変化に対して、現場の方の評判はいかがですか。

「何をできるようになればいいのかが分かるようになった」「今の仕事では気づかないところに気づけた」という前向きなコメントももらいます。

現場の仕事は色々とやることはありますが、一日の流れやルーティンも多いので、何も考えずに働いていると繰り返しが延々と続くことになりがちです。そこから一度離れて学んだり、他の現場の人と情報交換する中で感じたり気づいたりしたことは、職場に戻った時に新しいコトを考えるきっかけになっているようです。

また、あれをしたい・これもしたい、という入社した時の想いや理想も、日々の仕事に追われると薄れてしまいがちです。他の仕事や職種にもチャレンジしたいということすら考える余裕がなくなってしまいます。研修は自分の想いや考えに立ち返って、モチベーションの源泉としてもらう機会にもなっています。

ブランドで方向性を示す

―社内のあちらこちらに新しいコーポレートブランドを示すポスターが貼られています。一連の人事制度改革や人材育成とも連動させているのでしょうか。

事業も増えていく・人も増えていく中で、人事制度や教育も大切ですが、どこに向かっていく、という方向性も示さないといけないと感じていました。

ワークショップ風景
株式会社共立メンテナンス 人事部 部長 石井 孝幸 氏

新しいコーポレートシンボルは、社名から事業内容がイメージしづらいことや、幅広い事業領域によるわかりにくさなどを解消する目的で策定しました。

新しいコーポレートスローガン「よい朝のために。」は、社訓や過去に発信してきたメッセージ、各事業部でやっている仕事を分析し、「なんの会社だ?」を紡ぎ出してつくられました。寮もホテルも前の夜から色々とやっていることは“よい朝を迎えるため”。私たちの仕事はよい朝を迎えるための仕事であり、それを積み重ねてお客様の人生に寄り添っていく仕事だ、と。ここにはお客様だけではなく、当社の社員の「よい朝のために。」というメッセージも込められています。

まずは「よい朝のために。」というスローガンに込めた想いを感じ取ってもらう。そのために今は、各研修の最後でも時間を割いて伝えています。ブランドも人事・人材育成も、各事業の成長と整合をとりながら進めていきます。

想いの強い人材を発掘して育てる

―今後もブランドと人材育成の両輪で事業成長を支えていくにあたって、今後どのような展開を考えているのでしょうか。

常々言っているのが、100年企業、永続的に成長し続ける企業になろうということ。私たちはサービス業なので「人」、そして「伝承」が鍵です。

とくに寮長・寮母という存在は、教えて教えられるものではありません。寮事業に参入する企業も増えていますが、当社の真似はできない。うちでしかできない何かがあるのです。説明もできないし、マニュアルにもできないし、研修もできない。これを人から人へと伝承することを考えなければいけません。

そして育成で言えば、実務経験を通じて育つのがメインだと思っており、職場で育つ力を伸ばすための研修や仕組みをスピードあげて整備しようとしています。今は全体的な底上げのための取り組みが中心ですが、これからは個人別の課題に対し個人別のプログラムを用意するところまで進めたいと考えています。

想いのある人をつくるというのは簡単ではありません。今はまず、想いのある人・潜在能力のある人を発掘し、グレードなどに関係なく育てていく。いい意味での選抜型の育成にも着手しています。

インタビュー風景

事業や組織が急拡大するとき、最初にテーマにあがるのが「マネジメントの強化」です。しかし、「マネジメントの強化」はあくまでも「やり方」の強化にすぎません。同社では、マネジメントを強化するだけではなく、「どこに向かうのか」という成果の定義(≒ブランド)にも目を向け、両輪で取り組まれている点に魅力を感じました。

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