CASE25ファイナンス部門が
取り組む
「専門性×グローバル」
両利きの人材育成
野村ホールディングス株式会社NOMURA Holdings
![野村ホールディングス](../images/case/nomura/nomura_corporation_index.jpg)
ますますグローバル化が進む職場において、「どのように人材育成していくべきか」は、これからの企業において避けられないテーマとなっています。すでに海外拠点も多く、グローバル環境でビジネスが進む野村ホールディングス株式会社ファイナンス企画推進部では全社人事の育成施策に加えて、部門としてオンライン形式でのグローバル人材育成に取り組まれました。実施の背景を聞かせてもらうべく、ファイナンス企画推進部の鈴木氏、細田氏にインタビューを行いました。
日常的にグローバル環境が当たり前にある職場
―ファイナンス部門にはどういった特徴があるのでしょうか?
![人事企画部 人材開発室 能力開発チーム 課長代理 堀 豪志 氏](../images/case/nomura/nomura_corporation_1.jpg)
グローバル・ファイナンス COO
ファイナンス企画推進部長
マネージング・ディレクター
鈴木 淳子 氏
鈴木:野村證券設立間もない1927年にニューヨーク出張所を開設するなど海外展開に積極的でしたが、2008年リーマン・ブラザーズ証券のアジア・パシフィックならびに欧州・中東地域部門を承継後、海外の人員比率は一気に高まりました。ファイナンス部門は、海外拠点を含めた野村グループ全体の財務戦略、および会計業務全般、資金管理等を担当しています。当然日本だけで完結するビジネスやプロジェクトの方が少ないです。例えば、世界的な金融監督機関(バーゼル)のルールに従って、海外の野村グループ拠点と開示資料の作成、各国の規制に合わせた事業の資金調達計画の企画・実行・管理をしています。インドにも部門機能をおいているので、インドにいるメンバーとも連携しながら、世界中のグループ拠点とコミュニケーションをとっています。
ファイナンス業務は、非常に高い専門性を求められます。中途採用も行っており、現在では部門全体の7割以上が社外からの転職者となっており、また全体の2割弱が外国籍の社員です。職場の各グループやチームに外国籍メンバーが入っているのは当たり前になっています。社内の連携先が主にインドであることもあり、日々ヘッドセットを付けてチームの会議をまさにインドで仕事をしている感覚になることがあります。ゆえに、面接などで「グローバルな仕事がしたいです!」と言われることもありますが、「心配ご無用!明日からすぐに!」という感じになります(笑)
―そのような部署で働くのに必要なことはどのようなことでしょうか?
鈴木:多様な国の人たちとのコミュニケーションのやり方を学ぶ必要があります。日本人だけがわかる阿吽の呼吸では物事は伝わりません。いろいろな国籍の人がいる場でのコミュニケーションは様々です。コミュニケーションするうえでのお作法と語学力は必須です。さらに、国も違えばアプローチの仕方もさまざまで、自分を主張する方法がアグレッシブな外国籍の社員もいます。
細田:そうですよね。若手社員の中には鈴木に一方的にミーティングを入れて、自分の成果をプレゼンテーションしてくることもありましたね。「こんなことをやりました!また大きなプロジェクトがあったらよろしくお願いします!」といった感じで(笑)
鈴木:最近、若手の人たちの採用では、中国語ネイティブの方もいます。彼らはたいていが中国語、英語、日本語のトリリンガルです。社会での活躍を目指して、学生のうちから目標をしっかり見据えています。よく好きで使う言葉ですが、「生きる力」が違いますね。そういった意味では「グローバルはもう隣に座っている」感じがしています。
人事と連携、ファイナンス部門として「人を育てる」環境を用意する
―高い専門性×グローバルな環境の中に、オープンコース(配属先が予め決まっていない新卒採用)の社員を配置しているのにはどのような意図がありますか?
鈴木:日本企業独自の考え方かもしれませんが、例えば会計だけを極めたからといってCFOになれるかと言えばそれは難しい。マネジメントの考え方など、事業や組織全体を知る・見る経験も大切です。その意味で同期同士の横のつながりで得られる情報は大きいです。また、異動という形で様々な業務を経験させることもマネジャーは当然考えています。
特に当社では伝統的に新入社員に手厚くなっています。会社の方針として1年目はインストラクターを付けて、社会人としてのイロハから細かく教えていく土壌があります。これは当社のいいところで、「人を育てよう」という文化が強いからだと思います。ファイナンス独自のスキルを身に付けながら、広く事業を理解したCFOとなれるレベルを目指して育てていくことが一つの理想です。
―高い専門性×グローバルな環境での新卒育成はレベル高い印象を受けます。
事業部ではどのような新卒育成をされているのでしょうか?
細田:新卒2年目までは、配属先に関わらず人事主導の育成プログラムを実施しています。具体的には行動規範、商品知識、そしてマナーやコミュニケーションなどのソフトスキルです。一方で、部門に特化したスキルもあるため、ファイナンスでは「Finance Graduate Program」も行っています。数あるファイナンスの仕事の中から1年目と2年目では別々の仕事に携わり、OJTのトレーニングをしていきます。私たちの使命として、2年間でファイナンスへの適正を見極めていくことがあります。3年目になるとファイナンス本配属となるか、或いは社内他の部門への異動可能性もあるため、3年目が1つの大きなマイルストーンです。
![インタビュー風景](../images/case/nomura/nomura_corporation_2.jpg)
ファイナンス企画推進部
エグゼクティブ・ディレクター
細田 素子 氏
他にファイナンスで行っている育成プログラムとしては、今回のようなグローバル関連。ファイナンス部門はグローバル色が強いので、人事が提供する研修をベースに、さらに上載せして実施しています。「Finance Graduate Program」の2年間の集大成として、グローバルで仕事ができるマインドを持ってもらうことを狙いとしています。2019年にインド拠点で7週間の研修プログラムが始まりました。日本で完結する仕事の方が少なく、インドや他の海外拠点のメンバーとも仕事をしていきます。その環境になるべく早く馴染むためにも、語学力は勿論ですが、バックグラウンドの異なる人と働き、言いたいことを明確に伝える、行動する、そういったグローバルビヘイビア(マインド)をこのタイミングで学んでほしいと考えました。
―若手の人材育成について、どのようなことがポイントになりますか?
鈴木:どうしても職場では「習うより慣れろ」が先にきます。業務で使っているけれど改めて立ち止まって、自分が慣れていない部分をトレーニングされることが非常に大切だと考えています。普段若手同士でお互いの話をすることはあると思いますが、仕事で関わる周囲の社員から様々なアドバイスを受けられる機会は意外と少ないですから。ただ、当然業務には期限があります。例えば、書き物が「もう一歩だな」と思う時、トレーニングとしては丁寧に説明して、もう一回やってみてもらうのが正しいやり方かもしれません。
現場での実践も大切ですが、トレーニングの場として独力で完遂する機会を意図的に作ることが非常に有効だと考えています。私自身はそのような機会がなかったので、羨ましいなと思います。
オンラインでも効果は妥協しない、グローバル環境で必要なスキルをトレーニング
―新型コロナウイルスの影響で、インド派遣型からオンライン実施に変更されるにあたり、考慮したことはありましたか?
鈴木:グローバルトレーニングは、在宅勤務でも続けることが決まっていました。以前から在宅勤務機能がありましたので、テレワーク初日からほとんどの社員が在宅になりました。そのため、在宅でのトレーニングに不安はありませんでした。
細田:オンラインでもきちんと効果が得られる研修を探したい想いがありました。グローバル環境でビジネスを遂行するためのマインドセットと異文化を理解した上でのコミュニケーション、そして、「これからもなんとかなる」という自信を付けることが目的にありました。それらは、トレーニング中に紹介されていたグローバル環境で必要なスキル「6グローバルスキル」(注1)に合致するものだったと思います。
導入にあたり、実は色々な会社と話をしていました。ただ、正直なところ、受け身で講義を聞かなくてはいけないプログラムが多かった印象です。そのうちに人事からウィル・シードを紹介してもらい、在宅海外研修の開催に至りました。
―最後になりますが、研修から半年経ちますが、受講生にどのような変化がありましたか?
細田:研修後、社内のニュースレターで4人の受講生に発信してもらいましたが、本人たちが成長を実感しているのが伝わってきました。(注2)一部紹介すると、「相手に充分考慮しながら内容を端的に伝えるトレーニングを何度も繰り返し、自身の発言が与える影響を意識するようになりました。」や、「一番大きく進化したのは行動力。挑戦してみようという気持ちが強くなったことです。実践したからこそ得られる知識や能力があります。ここで学んだことをグローバルな野村で活かしていきます。」などの意見がありました。
鈴木:中には英語があまり得意ではない人もいました。それでも最後のプレゼンテーションでは研修で学んだことを立派に発表していました。その場には関連部署の上司も出席していましたが、「ここまでできるとは」というコメントが出ていたのを今でも覚えています。
―本日は貴重なお時間を頂きましてありがとうございました。
(注1)今回の研修を弊社と共に提供したセブンシーズ社が提唱する、グローバルビジネスにおいて必要な6つのスキル。詳細は
こちら。
(注2)実際の受講生のインタビューは別途掲載しております。詳細は
こちら。
![東京海上日動火災保険株式会社](../images/case/nomura/nomura_corporation_3.jpg)
ファイナンス部門のグローバルな職場かつ即戦力の専門性が求められるような環境。ともすれば、育成は本人・現場まかせで終わってしまいそうなものです。しかし、その中でも、環境まかせではなく、「人を育てていこう」というお二人の強い想いが印象的なインタビューでした。
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ファイナンス部門が取り組む
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CASE01サントリーホールディングス