CASE20「価値観を揺さぶる」
リモートでのグローバルなビジネス経験

東京海上日動火災保険株式会社Tokio Marine & Nichido Fire Insurance Co., Ltd.

東京海上日動火災保険株式会社

グローバル人材育成をオンライン形式でも行えるかは、最近よく伺うテーマとなっております。東京海上日動火災保険ではグローバル人材育成の必要性、及び現在の時流の変化を踏まえて、オンライン形式でのグローバル人材育成に踏み切りました。実施の背景を聞かせてもらうべく、東京海上日動火災保険の堀豪志氏にウィル・シードの藤森がインタビューを行いました。

コロナ禍でも中止せず、
リモートでの実施に踏み切った決断

―海外研修のほとんどが中止になったなか、この3年目グローバル研修を実施された理由は?

コロナ禍に、この研修を中止にせず実施した要因は大きく2つあったと思っています。一つは会社としての理由、もう一つは担当者である私自身の想いです。まず会社としては、この研修の意義は非常に大きいと考えています。当社は海外展開も積極的に行っているグループです。グローバルベースでの「グループ一体経営」を掲げ、日々取り組んでいます。グループ一体経営においては、グローバルベースでのシナジー効果、すなわちプラスαの価値を生み出していくことを目指しています。当然のことながら、シナジーを生むためには、しっかりとコミュニケーションが取れないといけません。我々が目指すグループ一体経営を実現する上では、国籍を問わず多様な人達とコミュニケーションを取ることが出来てシナジー効果を創出できる人材、すなわちグローバル人材の存在が不可欠です。グローバル人材をどう育成、輩出していくかと考えた時に、この3年目グローバル研修は、若年層に実施する研修機会として、まさにその一つのきっかけとなる研修だと考えています。この研修でグローバルに対する意識を高め、研修後には英語を含めた必要なスキルを継続して研鑽し、将来的には海外勤務にもチャレンジして一歩ずつ真の意味でのグローバル人材に近づいていく、といったイメージです。

また、3年目に実施する、というタイミングも重要だと感じています。業務に慣れてきたタイミングで、強烈に価値観を揺さぶるような体験をすることで、今後の成長につながる“気づき”を一度立ち止まって多く得て欲しい、という狙いがあります。その意味でこの3年目グローバル研修は、自分の目指す姿を改めて見つめ直し、目標達成に向けたアクションを考える上で、間違いなく有意義な研修だと感じています。そして、もう一つの私自身の想いを振返ると、本研修を目標に英語学習等の自己研鑽に懸命に励む若手社員の存在が大きかったです。日々努力を重ねる彼等のために何とか形を変えてでも研修を開催したい、という強いモチベーションがありました。その結果、この研修は中止とせずに形を変えてきちんと開催する、という結論に至ることが出来たのだと思います。

―「強烈に価値観を揺さぶる経験」について、もう少し詳しく教えていただけますか?

私が入社した当時には残念ながら本研修はありませんでしたが、たまたま入社8年目の時に、機会に恵まれてベトナムで実施する研修に参加しました。その経験は私にとって間違いなく「強烈に価値観を揺さぶる経験」でした。私はそれまで海外ビジネスに全く触れてこなかったこともあり、その研修で現地の方々とコミュニケーションを取る中で、価値観を大きく揺さぶられた、見える世界が大きく広がった、感覚がありました。最初は業務の中で積み重ねてきた自分のロジックでコミュニケーションを取れば、きちんと伝わると思っていました。

人事企画部 人材開発室 能力開発チーム 課長代理 堀 豪志 氏
東京海上日動火災保険株式会社
人事企画部 人材開発室 能力開発チーム
課長代理 堀 豪志 氏

実際にはバックグラウンドが違う相手に理解してもらえるような伝え方が全くできず、大苦戦しました(苦笑)グローバルな環境下で相手に自分の考えを伝える上で一番重要だと感じたのは、文化の違いを理解した上で相手の受け止め方を想像してきちんと言葉にする、ということです。そのためには、前提として自分の業務について深く考え、理解することが求められます。研修の中で日本のビジネスを紹介する場面で、「これってどういう意味?」「どのような狙いでこれを実施しているの?」と予想していなかった素朴な質問をたくさんもらいました。しかし、当時の私はその場ですぐに答えられませんでした。頭の中では分かっているつもりでも、異文化の環境下で説明できる深いレベルでは理解出来ていなかったことを痛感する経験でした。このような自分の体験からも、海外というバックグラウンドの異なる人とのビジネス経験は、これまでの常識を改めて見つめ直す機会として、とても重要だと感じています。

―他の海外研修がやむを得ず中止となるなか、実施に対しての反対はありませんでしたか?

「リモートで実施して意味があるのか」といった反対意見は、実はあまりなかったです。それは、先ほど述べたとおり、この研修が重要であることが皆の共通認識になっていたからだと思います。本研修を始めて年月が経ち、着実に社内におけるグローバル人材の数は増え、会社の強みになっていると感じています。一方、難しかったことは、新型コロナウイルス感染の状況がどうなるかまだ分からなかった段階で判断する必要があったことです。事態が好転する可能性もまだゼロではない中で、本当に全面的にリモートプログラムに切り替えるか否か、迷う部分も正直ありました。

ただ、担当としては、何とか実施したい、判断を遅らせることで研修を完全に中止とするという選択肢だけは絶対に取りたくない、という想いが強かったです。昨年度、参加者が目をキラキラさせてこの研修に参加する姿を見ていたことがやはり大きかったですね。過去に事例のないリモートでのグローバル研修を企画することは、大きな挑戦ではありましたが、上司からのサポートもあり、「グローバル研修の新しい形をゼロから創る!」という意気込みで、やりがいを持って取り組むことができました。御社に相談した際、短い期間で想像以上の素晴らしいプログラム案を作っていただけたこともリモート実施に踏み出せた理由です。それが無ければ決断できなかったと思うので、御社のスピードとクオリティの高さに感謝しています。

東京海上日動火災保険株式会社

今後のリモートの普及を見据えた新たな挑戦

―今は海外研修のみならず、大半の研修をリモートで実施していますが、リモートの良さは何でしょうか?

やはり自由度が高まることですね。時間や場所といった制約が緩和されることで、今まで色々な理由によって研修に参加できなかった人が参加できるようになることは、リモートで実施する際のメリットだと思います。グローバル研修という観点では、当然のことながら“空気感”のように渡航した現地でしか体感できないものもあると思いますが、リモートでは、また違った学びがあるとも思っています。リモートツールを使った1対1のコミュニケーションは、日本語を使う日本人同士でも難易度が上がりますよね。それを、英語を使って実施するというのはかなりタフな経験になると考えました。対面でのコミュニケーションであれば、アイコンタクト、ボディランゲージ、ホワイトボードを使って伝える、など様々な情報や選択肢があります。リモートでは当然選択肢は限られるため、難易度の高いコミュニケーションの中で何が自分に足りないのか真剣に考えることで、逆に得られる学びや気づきが多くなる側面もあるのではないか、と思います。

―最終的にリモートでの実施を判断された基準はどこでしたか?

判断にあたって大事にしたポイントは、研修の目的である「強烈な価値観の揺さぶり」が担保されているかという点と、「リモートだからできること」という要素が入っているかという点です。受講者の大切な時間をもらう以上、研修の質は決して落としたくありませんでした。特にリモートならではの工夫については大事な判断のポイントでした。残念ながら実際に海外に渡航することは叶わないものの、逆にリモートで実施するからこそ得られる気づきを何とか提供出来ないか、という思いが強かったです。また、リモートで実施することに関しては、これからのビジネスの先取りだとも考えました。新型コロナウイルスにより大きく世界は変わりました。リモートでグローバルビジネスを進めていく状況はこれからより一層広がると考え、リモートグローバル研修は将来のグローバルビジネスの先取りという意味合いも持たせられる、と思いました。

リモートでのグローバル経験がもたらす効果と可能性

―実施して感じている効果、参加者の経験や感想、を教えていただけますか?

参加者のアンケートを読み、改めて実施して良かったと思っています。キーワードとして多かったのは、「思った以上にタフでした」というコメントです。「イメージと違ったし、非常に大変だった」「初日からどうしようと思ったけどなんとか乗り切れた」という声からも、タフな体験だったのだと感じています。他には「英語以外にもビジネスパーソンとしてグローバルビジネスを展開する上で必要なスキルを学び、考える機会になった」というコメントも見られました。まさにこの研修の目的です。英語はもちろん大事ですが一つのコミュニケーションツールであり、グローバルビジネスに求められるスキルの全てではない。リモート環境下でも、研修の目的が伝わり、受講者の気づきになっている点は良かったと思います。加えて、今回のプログラムが、バックグラウンドの違う多様な人々と共創する機会になっていることも実感しています。海外の方とリモートで一緒に何かを作り上げることは、なかなかできない経験であり、一昔前では考えられなかったことです。様々な意味で研修効果は高かったと感じています。

―これまで3年目研修を継続してきて、どのような効果を感じていますか?

参加者には事後課題として、「自分の経験を職場でシェアする」ことを提示しており、参加者のグローバル経験を社内に伝播させることはできていると思います。研修内の気づきをシェアすることで社員の皆が共通体験をし、本研修が文化として根付いていることは一つの立派な効果だと感じています。今後も引き続きグローバル人材の育成が重要であることに変わりはなく、継続して取り組んでいきたいですね。

―最後に、グローバル人材育成について悩んでいる人事の方も多いと思うので、何か一言お願いします。

現在の状況下でのグローバル人材育成については、当社も試行錯誤しながら進めている状況ですが、変化を好機に変える意識が大切だと感じています。Withコロナの環境下で「海外研修=渡航する」ということ以外の選択肢をいかに作っていくかが重要だと思います。「渡航する」という選択肢以外に「リモート海外インターンシッププログラム」というオプションができたことで、参加者にとっては新しい選択肢が増えたとプラスに捉えることも出来ます。今回の新たな挑戦で、スキルや気づきを得る、共創する、体験するといった研修目的はリモートでも達成可能だと分かりました。今後も様々な環境変化が起こると思いますが、その都度、研修目的に沿った一番良いオプションを考える、変化にスピーディーにアジャストしてその瞬間の最適解を追求していく、ことが重要だと考えます。当社も他社の事例から更に学んでいきたいと思っていますし、ぜひ一緒に勉強させていただきたいです。

東京海上日動火災保険株式会社

組織が中長期的に腰を据えて、人材育成に取り組む意義や人材育成が組織にもたらす効果を改めて考えさせる内容でした。堀氏がご自身の“言葉”として、組織の人材育成方針や育成テーマを発している点も印象的です。VUCAの中で、意思決定をしていくためには個人の“想い”や“考え”も重要なピースなのかもしれません。

株式会社バンダイナムコアミューズメント

「価値観を揺さぶる」
リモートでのグローバルなビジネス経験

CASE20東京海上日動火災保険

株式会社バンダイナムコアミューズメント

三カ月間の新入社員研修からみえた
「オンライン」と「リアル」の違い

CASE19株式会社バンダイナムコアミューズメント

住友商事

人材育成を止めないために
舵をきった
「新入社員研修オンライン化」

CASE18住友商事

日本航空

新たな価値を生み出せる
変革者を育てる海外異業種体験

CASE17日本航空

サントリーホールディングス

グローバルビジネス意識を向上させる
『English Boot Camp』

CASE16サントリーホールディングス

アドヴィックス

組織の育成風土づくりの
きっかけは「新入社員OJT」

CASE15アドヴィックス

共立メンテナンス

『よい朝のために。』
ブランドを支える人材育成

CASE14共立メンテナンス

サンゲツ

若手の声ではじまった
キャリア開発の取り組み

CASE13サンゲツ

東京急行電鉄株式会社

報告会に100名が集う
シリコンバレー派遣研修

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日清食品株式会社

フィードバック文化を育む
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Dell EMC

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社員参加型の教育CSR

CASE10Dell EMC

豊田市役所

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北上市 子ども創造塾事業

ナナメの関係で
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情報システム本部から広がる構想

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ジェイティ奨学財団

CSRの新しいカタチ

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カリキュラム作りへの挑戦

CASE05三重大学・鈴鹿医療科学大学

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ALP活動の狙いと効果

CASE04住友金属鉱山

東京海上日動火災保険

若手 × 階層別研修 × 海外体験

CASE03東京海上日動火災保険

パーソルキャリア

会社を飛び出して学び
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CASE02パーソルキャリア

サントリーホールディングス

海外トレーニー経験で
グローバル人材は育つ

CASE01サントリーホールディングス

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