CASE26共創が生む
新しい教育のかたち

東京都教育庁 
起業創業ラボ(起業・創業学習)

インタビュー風景

東京都立高校生を対象とした起業家教育プログラム、起業創業ラボ。東京都と都民、高校生と社会人、行政と民間、学校と社会ーー。起業創業ラボは、様々な共創から成り立っています。
東京都教育庁の久保田哲司氏、佐竹晶博氏にお話をうかがいました。

東京都民の意見から生まれた
高校生のための学びの機会

ー起業創業ラボを始められた背景を教えてください。

佐竹:起業創業ラボは平成30年度の都民提案で「高校生にも起業や創業に関する学習を進めた方がいいのではないか」という提案を受けたことを機に始まりました。

東京都教育庁指導部高等学校教育指導課 統括指導主事 久保田 哲司 氏
東京都教育庁指導部 高等学校教育指導課
統括指導主事 久保田 哲司 氏
※ 肩書はプログラム実施当時のものです。

久保田:都民の方から提案された事業分野は多岐にわたり、そこから都庁全体で検討され、採択に至るのですが、こうした学習機会が強く望まれているのだと実感しました。
たとえテーマが起業創業でなくても、生徒自らが実際に社会を捉え、課題を立てて、それを解決していくプロセスを体験から学ぶことが必要な時代だと思っていました。佐竹も私も公立学校での教員経験があり、このことは、肌で感じてきたところです。

ー庁内でも起業創業学習の必要性を
感じていたのでしょうか。

久保田:この取組を大切に育てていかなくてはという思いがあった一方、正直、私たちの理解が十分でないと自覚していました。
まずは「起業創業学習とは、どのようなものなのか」「なぜ今、アントレプレナーシップ教育が求められているのか」といったことから、我々自身が学んでいきました。 我々にはこのプログラムをやることで生徒にどのような資質や能力が身に付くのか、どのようなゴールを目指すのかといったデザイン力も欠けていたので、外部のお力もお借りしながらプログラムの設計を進めました。

佐竹:我々の狭い視野でやってしまわず、外部の方からアドバイスを受けながら、この学習のテーマでもある「答えのない問い」に向かってチームで取り組めたと思います。今回のプログラムは生徒からの反応も良く、初年度は参加人数を増員したほどでした。

久保田:もしかしたら現場の教員は、私のように「起業創業学習とは?」と思っていたかもしれません。生徒に参加を促すにしても、どのような生徒にこのような学習の素地があるかをつかめていなかったのではないでしょうか。逆に生徒の方が教員よりも感度が高かったかもしれません。

インタビュー風景

多様な人と出会い、
様々な価値観に触れる場に

ー3カ年継続しての取組となりましたが、
プログラム内容に変化はありましたか。

久保田:1年目は商業高校ビジネス科の生徒を対象にした通年型、普通科や商業高校以外の専門学科の生徒を対象にした集中型という、学習経験別に二つのコースを設定しました。 参加人数は各20名程度で、4~5名の学年混合チームにメンター役として1名の社会人が伴走し、プログラムに取り組みました。

佐竹:参加した生徒は誰もが高い熱量をもって臨みました。いつもの学校生活とは異なり、成績や学年を超えて、誰もが対等にディスカッションできて、互いに大変刺激を受けていたようでした。

チームメンバーは初対面の他校生です。共にプログラムに取り組むにあたって、他者といかに対話を重ねてつながっていくか、そうしたところも勉強になったのではないでしょうか。 翌年度からはバージョンアップして、さらに多様な価値観をぶつけ合えるものにしようと、学科の枠は取り払いました。

東京都教育庁指導部高等学校教育指導課 指導主事 佐竹 晶博 氏
東京都教育庁指導部 高等学校教育指導課
指導主事 佐竹 晶博 氏
※ 肩書はプログラム実施当時のものです。

ーコロナ禍で3年目はオンラインでの実施と
なりました。

久保田:2年目は中止でしたので、3年目もやらないという選択肢があった中で、オンラインでもできるという好例ができました。 オンライン学習のスタイルは様々ですが、黒板を映して説明するような動画を配信し、それを見るだけであれば、昔からあるテレビの講座と同じです。
そうではなく、今回はリアルタイムで双方向型にしたことが功を奏しました。

距離を気にせずに島しょ部の生徒も集まりやすく、普段会う機会のない生徒が共に学ぶことができ、3年目のオンラインによる起業創業学習は、また新たな可能性を開くことができました。

佐竹:対面なら合間にちょっとした会話ができますが、オンラインは、そうはいきません。今回も簡単な自己紹介をしてすぐにプログラムが始まり、最後になって「ところで、あなたは何年生だったの?」と聞いた生徒もいました。
逆に学年も学力も関係なく、テーマに真摯に向き合うことができていたようです。

ー多様な人々との関わり合いも、生徒の成長を
促していました。

久保田:多様性の認め合いを具現化できたことも、このプログラムの良さでした。 学校でも「多様性を認めよう」とは言いますが、教員は正解を発言した生徒に「正解」と伝えてあげたくなります。逆に正解を答えさせようとさえします。
「それもありだよね」と言えるようになるまでには、教員側にも度量が必要だと感じます。

今回のプログラムのメンター役を務めた社会人がそうだったように、生徒のどんな意見にも耳を傾け、丁寧に意見を拾い上げ、否定しないで生徒を受け止めるスタンスは新鮮でした。生徒たちも体験的に学べました。 メンター役の大人に認めてもらう経験を重ねるごとに生徒がイキイキとする様子を見て、見学に来ていた教員からも「学校でも取り組みたい」「この手法を自分も学びたい」という声が上がりました。

ー生徒の中に社会人を入れたことも
このプログラムの特長です。

佐竹:これだけ社会の変化の波が激しいと、学校の教員だけで生徒に教える時代は、もう難しいと感じることがあります。学校教育の中に社会の力を入れていかなくてはならないと思っています。

ただ、教員というのは、外部の方々と連携する機会があまりありません。今後はいろいろな人と協働していく能力が求められるはずですから、そういった点も学びになりました。

久保田:これまで縦割り行政とご批判いただいており、私自身も様々な力を結集させて生徒の力を育成していく方法論を、この機会に勉強させていただきました。 教員という立場は、生徒の前で「先生は分からない」と言いづらい風土がありますが、それを払拭できる機会にまで発展させられればとも思っています。

教員魂を発揮して新たな教育を模索

ー行政職員として、教員として、様々な気付きが
あったことがお二人のお話から感じられます。

久保田:いちばん驚いたのは、最終日に「起業家にはなりません」と感想を述べた生徒がいたことです。
起業家教育のプログラムで学んだ生徒の感想として、大いに心を揺さぶられました。

しかし、サッカーが大好きだがプロにはなれない場合に、サッカーとどのように関わっていこうかと考えるように、自分の生き方を捉えるきっかけにもなるということだとすぐに思い直しました。
我々の設けた器が小さかったと反省しつつも、生徒の成長は、私たち大人の予想を軽々と飛び越えていく感じがして清々しかったです。

我々は学校にいようと教育行政にいようと、どんな立場にあってもいつでも真ん中に「子ども」がいます。
子どもがイキイキと活躍する場やそのチャンスをつくり、子どもたちの声を拾い集める時間や労力は惜しみなくやるぞと思っています。これはもう教員魂ですね。

ー庁内からの反応も良かったとうかがっています。
成功の秘訣は?

佐竹:都民提案で採択された事業は単年度で完結することが多い中、起業創業ラボは3年継続して予算が付きました。庁内での評価も上々で、この事業自体は完了していますが、いまだに問い合わせがあります。

久保田:起業創業ラボは東京都議会でもポジティブな取組として取り上げていただき、それが追い風となり、庁内からも応援を得られやすい事業になったと思います。

企業創業ラボ

プログラムの質にこだわり、内容や方法を吟味したことはもちろん、生徒の成長を事前事後で数量的な客観的データで検証したことは、継続実施の足掛かりになりました。
本事業でも、生徒をどのように育てたいのかというゴールを設定し、その裏返しとなる評価を数値化することを予め決めていました。エビデンスができて事業の効果をはっきりと示せたからこそ、継続できたと感じています。

東京都教育庁

次世代の学校教育のあり方を考える機会が満載の取組となりました。子どもに教え、学習内容として与えるだけでなく、子どもの成長から気づきを得たり、学ぼうとするお二人のしなやかな姿勢が印象的なインタビューとなりました。

起業創業ラボに関わった社会人メンターの声を当社コラムに掲載しています。
https://www.willseed.co.jp/column-feature/school-education/

企業創業ラボの詳細は、東京都教育委員会の公式サイトに掲載されています。
https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/content/entrepreneurship_and_founding/

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