case16グローバルビジネス意識を向上させる
『English Boot Camp』

サントリーホールディングス
株式会社Suntory Holdings Limited

インタビュー風景

“管理職のグローバル化”
が喫緊の課題

ーこの施策をスタートさせた背景を教えてください。

サントリーグループでは、2009年頃からグローバル化に向けた人材育成施策が本格化しました。例えば、若手社員が海外グループ会社でのOJTを通じて将来のグローバルリーダーを目指す「海外トレーニー制度」、業務を続けながらOff-JTでグローバル業務遂行に必要なスキルを身につけ、条件をクリアすることでグローバル部署などへの異動や海外派遣への道が開かれる「キャリアチャレンジ」など、さまざまなプログラムを実施してきました。

インタビュー風景
サントリーホールディングス株式会社
ヒューマンリソース本部 キャリア開発部 課長 
大杉 慎也 氏

その甲斐もあり、若手層の人材は順調に育ってきたものの、部長や課長といった管理職層のグローバル化の加速感が少し足りないのではないかという課題が出てきました。

2014年のビーム社買収をはじめ、ここ数年でグローバル展開は加速度を増し、グループ企業が増えています。それに伴い、国内外の関連部署を横串で通し、マトリクス状の組織運営がなされるようになりました。しかし、日本人の管理職層が海外と対等に渡り合えているかといえば、まだまだ不十分。コミュニケーションスキルも含め、いかに乗り越えていくかということが喫緊の課題です。そこで、2018年から新たなプログラムをスタートしました。

ープログラムの内容は?

このプログラムのメインは、ハーバードビジネススクールでの短期留学。選抜された日本人社員と海外のグループ社員が、サントリー専用にカスタマイズされたMBAプログラムを共に学びます。初年度の日本からの参加者は40名にものぼります。

とはいえ、全員がMBAプログラムで学べるほどの十分な英語力を備えているわけではありません。希望者を対象に、短期留学の6ヵ月前から英語力強化に特化した国内型研修を実施しました。

ープログラムの対象者は部長や課長クラス。通常業務でかなり忙しくされている層です。短期とはいえ、海外プログラムへの参加や事前の英語学習にかなり時間を取られます。参加者からの反応は?

一流のビジネススクールで学ぶチャンスですし、「仕事が忙しいのに」といったネガティブな反応はありませんでした。それに、選ばれたということは、自分が会社から期待されているということ。ならば、やり遂げたい、やり遂げなければならないという責任感を持って臨んでいたと思います。

プログラムの内容だけでなく、伝え方ひとつ、見せ方ひとつにもこだわり、「このプログラムを通じて期待していることは、グローバルで戦えるようになること」という最終的なビジョンを、直接、人事部門のトップから当事者に伝えてもらいました。さらには、ただ「参加してください」ではなく、「このプログラムに必要な武器を身につけるために、事前に6ヵ月間の英語学習の機会を準備しています」といったように、参加者を支える体制があることを明示しました。

サントリーグループの研修は、すべてのプログラムが“伴走型”。参加者に「研修を受けて本当に良かった」と、思ってもらいたいのです。

インタビュー風景

同じゴールに向かって英語を学ぶ
連帯感が学びを加速させた

ー事前の英語学習について、教えてください。参加者の様子は?

スタート当初は、どれくらいスキルアップできるのか、不安を感じながら取り組んでいたと思います。参加人数は31名。今にして思えば、人数が多かったことが功を奏した側面もありました。

スタート時点で一定水準のレベルを有していた人、さらなる努力が必要な人など、参加者の英語力のレベルはさまざま。しかし、互いの英語を聞き合うことで、おのずと自分のレベルが把握できました。このプログラムの参加者は全員が豊富なビジネスキャリアを持ち、将来を嘱望されている人ばかり。そうした層の人びとに対して「あなたはもっと英語力を身につけるべき」と、真正面から伝えることが正しいかと言えば、決してそんなことはありません。本人のやる気やプライドを損なうことなく、「自分にはまだまだ英語力が足りていない」と、自然と気づいてもらうことができたのです。

ー外部の英会話スクールに通ってもらったり、オンライン英会話を受けてもらったりと、プログラム参加者に英語を学んでもらう方法は他にもあります。あえて社内で学習機会を提供した理由は?

スクールやオンラインでの学習は、自分を律して学ぶ時間をつくらなくてはなりませんし、本人の努力にゆだねられる部分が大きくなってしまいます。一方、会社が場所と時間を提供し、「皆が頑張っているのだから、自分も頑張らなくては」という意識付けをしてあげたほうが、学習効果は高いと感じました。これもグループレッスンの強みですね。もちろん、会社での英語学習と並行しながら、他のやり方で学んでもらってもかまいません。

もう一つ、全員が同じ学習内容と量を学ぶことで、今回の短期留学に備えて会社として身につけてもらいたい英語力を最低限担保することもできます。例えば、ほぼ毎日、リスニングに特化した宿題を出し、その実施状況をモニタリングしたのですが、これだけの量を個々人が取り組みきれるかというと、質や量に差ができてしまいます。

ー大杉さんもこのプログラムに参加されたそうですが、いかがでしたか?

私はオンライン英会話も受けていたのですが、英会話といっても、自分の考えを話すというよりは、ダイアログ集の読み合わせがメイン。スキットや発音は身につくものの、見えているものを読んだり、聞いたりしているので、リスニングに関しては、実践で使えるレベルにはなかなか至らないことを感じました。一方、毎日の宿題では、英語を聞いたり、聞いた英語を書き取ったり、音読したりと、徹底して取り組むことができたので、非常に有効だったと思います。

インタビュー風景

ー6ヵ月間で、英語力はかなり底上げされたのでは?

高い効果があったと感じています。プログラムが始まってすぐの頃、海外の人とビジネステーマをディスカッションするというヘビーなアセスメントを受け、実力を知りました。そこから皆で勉強し、宿題をこなしていくうちに、やっていける自信がついたと思います。

定期的にアセスメントやグループレッスンが盛り込まれ、これが成果発表的な位置づけになりました。皆、プライドが高くて失敗できないという気持ちで臨んでいたので、しっかりと勉強してくるのです。前半の3ヵ月ほどで勉強する癖がつきました。後半の3ヵ月では、実際のビジネススクールを想定しながら学び、いい意味で危機感を持ちながら取り組めました。

このプログラムを振り返ってみると、参加者全員が「考え方が変わった」と言っていますね。特に、時間のつくり方。マネジャー自身が業務のかたわら、勉強する時間をつくらなくてはならない状況だったので、働き方改革ではありませんが、結果的に良い影響があったと思います。

海外グループの社員と一緒に
学ぶからこそ、わかり合えたこと、
生まれた絆がある

ー留学先では、存分に力が発揮できたのでは?

6ヵ月間の助走期間を設けたことで、参加者は英語力だけでなく、「自分はこういうことを考えていて、こんなことを話し合ってみたい」など、ビジネススクールで学ぶモチベーションもアップしました。短期留学に向けてこれまでやってきたこと、考えてきたことをアウトプットできましたし、日本人だけでなく、海外のグループ会社から選抜された参加者もいましたので、日本人がどういうことを考えているのかを初めて理解してもらえた部分もありました。

ー短期とはいえ、実際に40名という大人数を海外に送り出すことは、かなり大きな投資であったといえます。

まさに、サントリーの未来への投資ですね。私としては、今回の投資は良かったと思います。今回、日本人、海外の人を問わずに共に学んだことで、自分が今やっている事業の外側を知り、知見が広がりました。

また、同じ場に一堂に会することで、主要ポジションの人たちが連携を取れましたし、今後、ビジネスが広がった際に、互いにアラインしながらやっていけるレベルまでには持っていけたと感じています。彼らにとって、生涯、つながることができるネットワークができた。これは、大きな収穫だったと言えるでしょう。

インタビュー風景

今後、事業のグローバル化を進展させていくにあたり、意識改革させることが難しいと言われる管理職層を対象に、ビジネス強化×英語トレーニングのプログラムをグループ会社まで巻き込んで実施したことに企業の覚悟を感じました。

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