WiLLSeed

リアル&リモート

リアル&リモート イメージイラスト
リアル&リモート ロゴ
FEATURES

14回連載

新型コロナウィルスの感染拡大により、未来はどのように変化していくのでしょうか。リアルとリモートが混在する環境でのHRDのあり方を探求していきます。

こうした事態そのものは、2020年、当社サイトに掲載した文章 において、そのリスクを考察しておいたので、とくに想定外ではない。しかし、1年以上が経過したいま、現場の育成担当者たちの声を聞くと、想像以上に「リモートOJT」に戸惑い、苦労していたことが分かる。

声の中でもとくに多かったのは、「問題発見の難しさ」である。
 そもそも、昨年度の新入社員は、コロナ禍による混乱で、十分な初期教育ができないまま配属となったため、問題を起こしやすい状況にあった。だからこそ、なおさら問題を早期発見し、手を打つ必要があったのであるが、リモート環境であるがゆえに、それもまた困難をきわめた。この1年、「作業を指示し、そのままにしておいたら、まったく違う作業をやっていた」といった例は、おそらく、そこら中の企業で起こっていたのではないかと思う。

隣で仕事をしていれば、否応なく気づくような大間違いも、リモート環境では見過ごす可能性が大幅に高まる。また、心身のコンディションの確認にしても、間近で表情を観察すればすぐに分かることが、オンラインでは把握できず、不調に気づけない場合も多い。育成担当者たちは、問題発見のために、従来とは比較にならないほど、気をつかわざるを得なかったはずである。

その他にも、「育成担当者以外が育成に関与しにくい(協力を得にくい)」「ウェットな関係性が作りにくく、仕事姿勢などについて踏みこんだ話ができない」「先輩などの仕事ぶりを見ていないので、高い基準を示しても理解できない」など、同じ空間で働いていないがゆえに生じる問題は膨大にあり、育成担当者たちは、それらとの苦しい戦いを強いられることとなった。たいへんな1年だったのある。

来年度以降、コロナ禍の収束に伴い、多くの企業は徐々にオフィス勤務に戻し、完全なリモートワークという勤務形態は、IT企業以外ではごく少数になるはずである。
 一方で、両者の融合形である「ハイブリッド勤務形態」を導入する企業は多く、中には、リモート比率の方が高いという企業も、かなりの数に昇るのではないかと予測される。その場合、「つねに職場という同じ空間にいて、新人の未成熟が露呈するたびに指導する」という育成方式は、少なくとも以前と同じようにはできなくなる。つまり、程度の差こそあれ、この1年に起きた問題に、今後の「新人育成」は、直面しつづけることになる可能性が高いということだ。

そんな時代にあって、育成担当者は、どのような姿勢で、またどのような方法をもって、新人育成にあたればいいのだろうか。できる限り具体的に考えてみたい。

第3回:「意識の成熟度」を把握する(前半)

NEXT

第3回「意識の成熟度」
を把握する(前半)

「場の情報性の減少」に挑む

ハイブリッド環境下での人材育成

リアル&リモートHRD研究所 一覧へもどる

リアル&リモートHRD研究所 一覧へもどる

COLUMN

関連ケーススタディ

FOLLOW US最新情報をfacebookで!