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14回連載

新型コロナウィルスの感染拡大により、未来はどのように変化していくのでしょうか。リアルとリモートが混在する環境でのHRDのあり方を探求していきます。

コロナ禍の発生以降、企業のリモートワーク(テレワーク)導入が進んでいる。応急措置的な導入となったため、うまく機能せず、出社型に戻してしまった企業も少なからずあるが、それでも昨年あたりとは比較にならない数のビジネスパーソンが、今日もリモート環境下で仕事をしている。おそらくこれは、人類の労働史上において、かなり画期的な出来事であるに違いない。

とはいえ、このまま出社型の勤務形態がどんどん減少し、現場仕事以外はすべてリモート化されるような時代になるかと問われれば、正直、よく分からない。コロナ禍がどの程度長期化するかという、予測不能な事柄によっても、事態は大きく変わってしまうからである。ただ、確実に言えることがある。それは「出社型の勤務形態が自明な時代は終わった」ということである。「ムリだと思っていたけれど、実際にやってみたら意外と大丈夫だった」という、今回のリモートワーク体験は、出社の自明性をみごとに打ち砕いたのである。

その結果、企業は1つの「選択の自由」を獲得することになった。出社型の勤務は絶対ではなく、職務内容などによっては、適宜リモートワークを選択してもよい(あるいは出社と在宅を組み合わせてもよい)という、「社員の勤務形態の選択に関する自由」である。と同時に、この「選択の自由」の獲得は、企業が重い課題を背負うことも意味していた。リモートワークを、本格的な「出社型勤務の代替物」とするためには、業務フローの見直しや人事制度の改定といった、多くの難題に取り組み、解決する必要があったからである。

そうした難題群の中にあって、とくに高難度なのが「リモート環境下での人材育成」である。

日本的経営の特徴の1つは、「長期的な人材育成」にあるとされる。ポテンシャルで採用した新卒社員に、時間をかけて経験を積ませ、それなりの戦力へと育てていく。激しく変化する現在の経営環境下で、批判も多い仕組みであるが、多くの日本企業は、今もなお堅持を続けている。しかし、長期育成の路線を維持したい日本企業の思惑とリモート化の双方を満たすことは、容易なことではない。育てる人と育てられる人が同じ場所で働いていない状況で、そもそも育成なるものは成立するのか。これまで想定していなかった、様々な根本的問題に直面するだけに、高難度なのである。

とはいえ、すでに企業には「入社以来ほとんど出社していない新入社員」も出てきており、問題は顕在化しつつある。彼らのためにも、また「選択の自由」を企業が存分に活かせるようになるためにも、企業としては、「リモート環境下での人材育成」というテーマに、正面から向き合わねばならないはずだ。本稿は、この難題に向き合う方々のために、「考える基盤」を提供しようとするものである。次回以降、より詳細な議論を進めていきたい。

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